質問者:
小学生
トミー
登録番号6113
登録日:2025-02-24
僕は最近ニュースでよく見るナガエツルノゲイトウについて興味を持っています。みんなのひろば
ナガエツルノゲイトウの種子について
日本国内の系統は、種子では増えないとありますが、なぜ国内では栄養成長のみで種をつけないのでしょうか?
花が咲くのに不思議です。よろしくお願いします。
トミー様、
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「ナガエツルノゲイトウの種子について」にお答えします。
ナガエツルノゲイトウは南アメリカ<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB>原産の外来種で、日本では各地で爆発的に増殖して在来種を圧迫していることから特定外来生物<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E5%A4%96%E6%9D%A5%E7%94%9F%E7%89%A9>に指定されています。爆発的に増殖していると言っても、種子繁殖ではなく、茎や根の断片から容易に植物体が再生する栄養繁殖で増えているようです。環境省や農林水産省の資料は、日本ではナガエツルノゲイトウは花を着けるが種子は形成しないとしています。
アメリカでもナガエツルノゲイトウは外来植物で、結実しないか、種子を形成しても発芽力が無く、増殖はもっぱら栄養繁殖によるとのことです。しかし、原産地の南アメリカでは繁殖力のある種子が形成されるそうです。
原産地では種子繁殖するものの、侵入先では栄養繁殖のようです。しかし、この違いを説明する資料は見つかりませんでした。そこで、私なりに考えてみます。
身近な植物でも、花を咲かせても種子をつけずに栄養繁殖で増えるものがあります。種子をつけない理由はいくつかあり、例えば、キンモクセイは日本で栽培されているのは雄株だけのため、ムラサキカタバミは花粉ができないため、ノアサガオは自家不和合性(本Q&Aコーナーの登録番号0833, 4721, 5221などを参考にしてください)のために種子ができません。ナガエツルノゲイトウの場合は、原産地では種子繁殖をするので、雄株だけというわけではなく、花粉ができないこともないので、可能性としては自家不和合性が残ります。もし自家不和合性であるならば、原産地ではいくつかの系統が分化していて、異なる系統間では受粉・受精が可能で種子が形成されるのでしょう。外来植物としては種子を形成しないのは、原産地から侵入したのは一つの系統だけで、それがまたたく間に栄養繁殖で増えてクローン(本Q&Aコーナーの登録番号3727, 4333, 4680などを参考にしてください)ばかりになってしまった結果、自家受粉と同じことだけが起こり、自家不和合性のために種子ができないという可能性が考えられます。
以上は私の推測で、本当かどうか分かりません。分からないことは自分で調べてみるといいのですが、ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されていて栽培は法律で禁止されています。環境省に申請して許可をもらえば研究目的で栽培できますが、しっかりと管理できる設備が必要です。野外で見つけたものを持ち帰ることも禁止されていますので気をつけてください。
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「ナガエツルノゲイトウの種子について」にお答えします。
ナガエツルノゲイトウは南アメリカ<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB>原産の外来種で、日本では各地で爆発的に増殖して在来種を圧迫していることから特定外来生物<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E5%A4%96%E6%9D%A5%E7%94%9F%E7%89%A9>に指定されています。爆発的に増殖していると言っても、種子繁殖ではなく、茎や根の断片から容易に植物体が再生する栄養繁殖で増えているようです。環境省や農林水産省の資料は、日本ではナガエツルノゲイトウは花を着けるが種子は形成しないとしています。
アメリカでもナガエツルノゲイトウは外来植物で、結実しないか、種子を形成しても発芽力が無く、増殖はもっぱら栄養繁殖によるとのことです。しかし、原産地の南アメリカでは繁殖力のある種子が形成されるそうです。
原産地では種子繁殖するものの、侵入先では栄養繁殖のようです。しかし、この違いを説明する資料は見つかりませんでした。そこで、私なりに考えてみます。
身近な植物でも、花を咲かせても種子をつけずに栄養繁殖で増えるものがあります。種子をつけない理由はいくつかあり、例えば、キンモクセイは日本で栽培されているのは雄株だけのため、ムラサキカタバミは花粉ができないため、ノアサガオは自家不和合性(本Q&Aコーナーの登録番号0833, 4721, 5221などを参考にしてください)のために種子ができません。ナガエツルノゲイトウの場合は、原産地では種子繁殖をするので、雄株だけというわけではなく、花粉ができないこともないので、可能性としては自家不和合性が残ります。もし自家不和合性であるならば、原産地ではいくつかの系統が分化していて、異なる系統間では受粉・受精が可能で種子が形成されるのでしょう。外来植物としては種子を形成しないのは、原産地から侵入したのは一つの系統だけで、それがまたたく間に栄養繁殖で増えてクローン(本Q&Aコーナーの登録番号3727, 4333, 4680などを参考にしてください)ばかりになってしまった結果、自家受粉と同じことだけが起こり、自家不和合性のために種子ができないという可能性が考えられます。
以上は私の推測で、本当かどうか分かりません。分からないことは自分で調べてみるといいのですが、ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されていて栽培は法律で禁止されています。環境省に申請して許可をもらえば研究目的で栽培できますが、しっかりと管理できる設備が必要です。野外で見つけたものを持ち帰ることも禁止されていますので気をつけてください。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-03-26