質問者:
会社員
ほうじ茶
登録番号6131
登録日:2025-03-26
質問は、植物は生育の初期段階でアミノ酸を多く吸うことができるように遺伝的にプログラムされているのかどうかです。みんなのひろば
アミノ酸の吸収について
私の実家は農業をしており、実家に戻ると倉庫で液体肥料などのカタログを目にしたりします。
そこにはアミノ酸配合により、生育の初期の根の張りが良くなるなどの記載を目にします。
親はアミノ酸が何で大事なのかまでは教えてくれません、というか理解してないみたいです。
私も大学時に農学を専攻しておりました(畜産関係ですが、、)。
その際に学んだのですが、植物は窒素を吸収する際、硝酸やアンモニアの形で吸うことが多く、アミノ酸は吸えても少しばかりと学んだ記憶があります。
しかし、肥料の歴史を考えると化学肥料がない時代は肥溜めや魚の骨などを使っていたとも聞きますし、今みたいに精製された硝酸やアンモニアなどは少なく、肥料分として有機物が一般的だったはずです。
有機の窒素はタンパク質やアミノ酸が微生物に分解されて、硝酸やアンモニアに代わるという長い過程を経るわけですから、植物に吸収されるまでに相当な時間を要すると思います。
そこで、最初のアミノ酸の液体肥料のことに繋がるのですが、
植物自体には生育の初期にアミノ酸を優先的に吸う機構などが遺伝的にプログラムされており、アミノ酸を大量に吸うことができたするのではないかと考えました。
種子には発芽するまでの養分があるとおもいますが、それ以降は養分が必要になります。
硝酸も水に流れやすいと聞きます。
その点で言うと有機の分解がある程度進んだアミノ酸で吸うことのほうがメリットがあるように感じてきました。
ダラダラとまとまりのない考えを書いてしまい申し訳ございません。
親にアミノ酸がどういいのか教えてあげたいので、ご回答よろしくお願いします。
ほうじ茶 様
本コーナーへの質問、ありがとうございました。
植物は、脂質二重膜でできていますいわゆる細胞膜に覆われており、物質を輸送するシステムがないと細胞の外から中へ輸送することはできません。根も同様で、無機態の硝酸イオンやアンモニウムイオンは、それぞれの輸送体を使って吸収します。多数あるアミノ酸も、それぞれの輸送体を介して取り込まれますが、特に物質の長距離輸送に必要な道管や師管の周りに多く分布していて、根に多く分布している例は、あまり知られておりません。ですので、アミノ酸を無機態窒素に比較して大量に吸収するとは、考えにくいと思われます。他方、アミノ酸肥料は販売されていますが、アミノ酸そのものの効果よりは、土壌微生物によって分解を受け、畑地では最終的に硝酸イオンまで酸化されたあと吸収される、いわゆる緩効性の狙いが中心だと思われます。土壌微生物や土壌改良の目的もあるかもしれません。
道管液や師管液には、大量のグルタミンやアスパラギンを中心とするアミノ酸が含まれていますが、これは、植物に無機態窒素が有機化されて、長距離の輸送形態であるこれらのアミノ酸に同化された結果です。特にこの二つのアミノ酸は、中性の水(道管液や師管液)に大量に溶けやすいために、選ばれたものと思われます。
アミノ酸が直接根に利用されるという研究例もありますが、窒素源として無機態よりも優れているという研究を、私は知りません。ほうじ茶さまのご質問の、お答えになっていれば幸いです。
本コーナーへの質問、ありがとうございました。
植物は、脂質二重膜でできていますいわゆる細胞膜に覆われており、物質を輸送するシステムがないと細胞の外から中へ輸送することはできません。根も同様で、無機態の硝酸イオンやアンモニウムイオンは、それぞれの輸送体を使って吸収します。多数あるアミノ酸も、それぞれの輸送体を介して取り込まれますが、特に物質の長距離輸送に必要な道管や師管の周りに多く分布していて、根に多く分布している例は、あまり知られておりません。ですので、アミノ酸を無機態窒素に比較して大量に吸収するとは、考えにくいと思われます。他方、アミノ酸肥料は販売されていますが、アミノ酸そのものの効果よりは、土壌微生物によって分解を受け、畑地では最終的に硝酸イオンまで酸化されたあと吸収される、いわゆる緩効性の狙いが中心だと思われます。土壌微生物や土壌改良の目的もあるかもしれません。
道管液や師管液には、大量のグルタミンやアスパラギンを中心とするアミノ酸が含まれていますが、これは、植物に無機態窒素が有機化されて、長距離の輸送形態であるこれらのアミノ酸に同化された結果です。特にこの二つのアミノ酸は、中性の水(道管液や師管液)に大量に溶けやすいために、選ばれたものと思われます。
アミノ酸が直接根に利用されるという研究例もありますが、窒素源として無機態よりも優れているという研究を、私は知りません。ほうじ茶さまのご質問の、お答えになっていれば幸いです。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-03-29