一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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サボテンの水のやりすぎと、サボテンの破裂の因果関係について

質問者:   大学生   官能評価士を目指す農学部生
登録番号6162   登録日:2025-05-08
植物生理学の分野に関して素人なので恐縮ですが、先日友人が「サボテンに水をあげすぎたら、爆発した」と言ってました。
サボテンへの水のあげすぎでサボテン本体が破裂する事ってあるのでしょうか?また、水のあげすぎ以外にサボテンの破裂する可能性があるとしたらどのような条件が考えられるか教えて頂けると幸いです。
官能評価士を目指す農学部生 様

日本植物生理学会 みんなのひろば 「植物Q&A」に質問をおよせいただきありがとうございます。
私の研究室出身で、学位取得のための光合成の光阻害の研究を進めつつ、サボテンやベンケイソウについての原著論文も書いてきた宮田一範博士に相談しました。
回答は以下の通りです。

【宮田博士の回答】

 サボテンの爆発、破裂は、サボテンを趣味とする人が俗に言う「身割れ」のことだと思います。確かに、潅水し過ぎるとサボテンが縦に裂けることがあります。表皮が裂ける程度の軽いものから、体の中心部まで一気に割れてしまうこともあります。はっきりと因果関係を示した論文は寡聞にして存じませんが、トマトの裂果に近い現象かと思われます。ただ、トマトと異なるのは、基本的にサボテンは縦に割けるということです。これはサボテンの表皮が硬く、内部は横に膨らんで水を溜め込む構造だからだと推察されます。軽度な身割れであれば、野生下でも起きているのかもしれません。

過剰な潅水以外で、身割れが起きる条件としましては、温度でしょうか。低温下に比べ、高温下では吸水が良くなるのか、サボテンが膨らみやすくなります。あとは、時期的なものもあるかもしれません。冬季の断水後の生長期に、急激な吸水をさせると身割れが起きやすいのかもしれませんが、あまり実感はありません。
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「身割れ」の写真も添付してもらいました。栽培品種  袖ヶ浦(/Harrisia/ ‘Jusbertii’)だそうです。応急処置がいたいたしいです。

トマトの裂果については研究も進んでいるようです。「トマトの裂果」で検索すると、多くの園芸会社の詳しい解説が出てきます。ミニトマトの水やりは早朝は避けた方がよい、などと書いてあり、なるほどと思いました。宮田氏の回答にもありますが、トマトでは、縦に割れる場合と同心円状に割れる場合があり、原因が異なるようですね。

宮田 一範()
JSPPサイエンスアドバイザー
寺島 一郎
回答日:2025-05-19