質問者:
会社員
ojima3
登録番号6164
登録日:2025-05-10
新丸ビルの東京駅側にあるリュウゼツランが昨年の春から初夏にかけて開花した後、花の咲いたところから葉が生え茂り、その後越冬して現在もまだ葉が青々と茂っています。もちろん茎の根元にも葉が生えていますが、昨年よりは衰えているように見えますし、茎もやや傾きかけています。もともとリュウゼツランは花が咲くと、全体に枯れてしまうと聞いていましたので、越冬するのは大変珍しいと思いますが、越冬する条件とかは分かっているのでしょうか?ちなみに、一昨年も同じ鉢にあったリュウゼツランが開花しましたが、その個体は枯れてしまいました。
リュウゼツランが昨年開花した後に越冬して現在も葉が茂っている。
ojima3 様
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
リュウゼツランはリュウゼツラン科リュウぜツラン属(Agve) の植物で200種類以上ありますが、日本では約8種がそれぞれ日本名で流通しているようですね。ネット情報によると、A. americana(アオノリュウゼツラン)、A. univittata f. variegata(五色万代)、A. potatorum (1変種:雷神)、A. victoriae-reginae(笹の雪)、A. stricta (吹上)、A. parryi var. huachucensis (吉祥天)、A. schidigera(滝の白糸)、A. attenuata (アテヌアータ)が紹介されていました。アオノリュウゼツラン は代表的な agave です。また、アオノリュウゼツランには7種ほどの品種が流通しています。
ご質問にもあるように、リュウゼツランの仲間は一般に花が咲くと個体は枯れてしまいます。花が咲くと種子ができて、枯れてしまう植物は珍しくありません。多くの野草は一年草です。しかし、花が咲くまでにかなりの年月を要し、開花結実の後、個体が枯れる例は竹にみられます。リュウゼツランは英語ではCentury plant (世紀植物)と呼ばれるほど、花が咲くまでに長い時間がかかるものもあります。実際には、リュウゼツランが開花するには10〜15年かかります。中には40年もかかるものもあるようです。このように、開花は一度だけ起きて、そして枯れてしまう(死ぬ)植物を「一回結実性植物(monocarpic plants)」といいます。これらの植物は開花するまでに十分な栄養成長を続けて養分(エネルギー)を体に蓄え、開花→結実→種子形成という多大なエネルギーを消費する生殖成長に備えるのです。そして、次世代の繁殖のための種子ができると、個体の役割は終え、力尽きて死ぬという一生のシナリオが完結するのです。
さて、ご質問にあるように、通常は開花後個体は死ぬのが普通ですが、中には花がついていた箇所から新芽が成長することもあるようです。このようなリュウゼツランはカリフォルニアで生育するものに多いという記載がありました。また、種によって、例えば、Agave geminifllra ( twin-flowered agave: 双子咲きアガベ)とか Agave x ‘Blue Glow’(アガベXブルーグロー:Agave attenuata <https://www.oceanside-garden.net/plants/%e3%82%a2%e3%82%ac%e3%83%99-%e3%82%a2%e3%83%86%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%82%bf-agave-attenuata/> の交配種) は同じように新しい芽が成長するそうです。後者のブルーグローは日本でも販売されています。アガベ オルニソブロマ(Agave ornithobroma)のように、毎年開花する種もあります。
花が付いていたところから新芽が出るというのは、植物体の基部の根から伸びてくるいわゆる「ひこばえ」とは異なります。ひこばえは「不定芽」ですが、このような芽はおそらく休眠芽あるいは潜伏芽だと思います。不定芽/休眠芽/潜伏芽については本コーナーで登録番号4781の項目を読んでください。茎の先端で頂芽とその下部の周りに腋芽が形成され、頂芽が花芽になったため休眠してしまった腋芽が生き残っていて、発芽を開始したのではないかと思います。
リュウゼツランの越冬の問題ですが、新丸ビルで育てて居られるアガべはどの種でしょうか。ネット上に掲載されている開花中の写真をみるとアオノリュウゼツラン(A. americana)のように見受けます。だとすると、耐寒温度は-6℃といわれています。しかし、長い時間氷点下に晒すのは避けるべきです。アメリカ農務省の推奨温度領域は夏は32℃、冬は4℃となっています。この温度範囲を越える気候が続く場合は、室内に移した方が良いということです。耐寒性は種によっても異なり、アガベ・パリー(吉祥天)は -17℃まで耐えられるようです。
以上お役にたったでしょうか。園芸栽培関係の専門ではありませんので、足りないことはあるかと思います。リュウゼツランの栽培に関しては、ネット上きわめて多数の記載がありますので、それらを読まれれば、具体的なことがわかりますので、ぜひ参考にしてください。
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
リュウゼツランはリュウゼツラン科リュウぜツラン属(Agve) の植物で200種類以上ありますが、日本では約8種がそれぞれ日本名で流通しているようですね。ネット情報によると、A. americana(アオノリュウゼツラン)、A. univittata f. variegata(五色万代)、A. potatorum (1変種:雷神)、A. victoriae-reginae(笹の雪)、A. stricta (吹上)、A. parryi var. huachucensis (吉祥天)、A. schidigera(滝の白糸)、A. attenuata (アテヌアータ)が紹介されていました。アオノリュウゼツラン は代表的な agave です。また、アオノリュウゼツランには7種ほどの品種が流通しています。
ご質問にもあるように、リュウゼツランの仲間は一般に花が咲くと個体は枯れてしまいます。花が咲くと種子ができて、枯れてしまう植物は珍しくありません。多くの野草は一年草です。しかし、花が咲くまでにかなりの年月を要し、開花結実の後、個体が枯れる例は竹にみられます。リュウゼツランは英語ではCentury plant (世紀植物)と呼ばれるほど、花が咲くまでに長い時間がかかるものもあります。実際には、リュウゼツランが開花するには10〜15年かかります。中には40年もかかるものもあるようです。このように、開花は一度だけ起きて、そして枯れてしまう(死ぬ)植物を「一回結実性植物(monocarpic plants)」といいます。これらの植物は開花するまでに十分な栄養成長を続けて養分(エネルギー)を体に蓄え、開花→結実→種子形成という多大なエネルギーを消費する生殖成長に備えるのです。そして、次世代の繁殖のための種子ができると、個体の役割は終え、力尽きて死ぬという一生のシナリオが完結するのです。
さて、ご質問にあるように、通常は開花後個体は死ぬのが普通ですが、中には花がついていた箇所から新芽が成長することもあるようです。このようなリュウゼツランはカリフォルニアで生育するものに多いという記載がありました。また、種によって、例えば、Agave geminifllra ( twin-flowered agave: 双子咲きアガベ)とか Agave x ‘Blue Glow’(アガベXブルーグロー:Agave attenuata <https://www.oceanside-garden.net/plants/%e3%82%a2%e3%82%ac%e3%83%99-%e3%82%a2%e3%83%86%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%82%bf-agave-attenuata/> の交配種) は同じように新しい芽が成長するそうです。後者のブルーグローは日本でも販売されています。アガベ オルニソブロマ(Agave ornithobroma)のように、毎年開花する種もあります。
花が付いていたところから新芽が出るというのは、植物体の基部の根から伸びてくるいわゆる「ひこばえ」とは異なります。ひこばえは「不定芽」ですが、このような芽はおそらく休眠芽あるいは潜伏芽だと思います。不定芽/休眠芽/潜伏芽については本コーナーで登録番号4781の項目を読んでください。茎の先端で頂芽とその下部の周りに腋芽が形成され、頂芽が花芽になったため休眠してしまった腋芽が生き残っていて、発芽を開始したのではないかと思います。
リュウゼツランの越冬の問題ですが、新丸ビルで育てて居られるアガべはどの種でしょうか。ネット上に掲載されている開花中の写真をみるとアオノリュウゼツラン(A. americana)のように見受けます。だとすると、耐寒温度は-6℃といわれています。しかし、長い時間氷点下に晒すのは避けるべきです。アメリカ農務省の推奨温度領域は夏は32℃、冬は4℃となっています。この温度範囲を越える気候が続く場合は、室内に移した方が良いということです。耐寒性は種によっても異なり、アガベ・パリー(吉祥天)は -17℃まで耐えられるようです。
以上お役にたったでしょうか。園芸栽培関係の専門ではありませんので、足りないことはあるかと思います。リュウゼツランの栽培に関しては、ネット上きわめて多数の記載がありますので、それらを読まれれば、具体的なことがわかりますので、ぜひ参考にしてください。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-05-22