一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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雨の後、必ず、庭に出てくるワカメのような物体

質問者:   その他   中西 優
登録番号0617   登録日:2006-04-27
雨の後、必ず、庭の一部(小さい草や野草が生えている部分)に、深緑のヘドロのような物体が散らばったように浮き出てきます。
手にとって触ってみると、ドロドロではなく柔らかい海藻(ワカメ)みたいです。
不思議なことにそのまま放っておくと、いつのまにか消えています。
匂うと、コケに似ています。そこは、水はけが良くない場所です。

近所の人も不思議がっています。調べ方がわからず、メールしました。
中西 優さま

 大変遅くなってしまいました。何人かの先生にお願いしたのですが、なかなか返事が頂けず、ようやく広島大学の出口博則先生から次のような回答が頂けました。みんなの広場へは写真が載せられませんが、出口先生は写真もお寄せ下さいましたので、中西さまには添付ファイルでお送りします。


お問い合わせのものはたぶんイシクラゲ(Nostoc commune; 藍藻類,シアノバクテリア)と想像します.庭だけでなく公園の芝生の中にも生えてきます.乾くとパリパリになって,目立たなくなります.梅雨をはさんでこの時期になると一般から寄せられる質問の定番であります.わたしの専門は蘚苔類(コケ)ですが,不定形で,あまり美しくないものはみんなコケと呼ばれ,質問が寄せられます.
高級会席料理でままごと遊びに使うような小さな器に添えて,ときどき(ときどきしかそういう高級な料理を口にしないわたしですので)お目にかかるアシツキ(カモガワノリ)もこの仲間です(Nostoc verrucosa).京都加茂川で昔は採取されていたのでしょう.イシクラゲも食べられると思うのですが,庭に生えてくるようなものを顕微鏡で観察しますと,線虫などがいて,とても食べようという気にはなれません.しかし,それらがいないとたぶんおつな酒の肴になると思います.

出口 博則(広島大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-05-15
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