一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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観葉植物のPHの差におけるショック症状について

質問者:   一般   jojo
登録番号6182   登録日:2025-05-29
植物を育てていく中で、
植物にとって急激な環境の変化が良くないというのは聞く話で、温度や湿度、光などの環境、植物を移動させたり、植え替えたりした時のストレスなどがあると認識しておりますが、
ことPHに関しては、
植物を生育する上でPHが影響を与えることは理解しておりますが、
一般的な観葉植物において植替えをする際などに、
元の用土と植え替え後の用土にPHの数値に差がある場合、
水やりや肥料、または土壌改善剤を加えた場合など、
一時的にPHの差が生まれてしまう場合に、
①植物にショック症状のようなものが起こる可能性はあるのでしょうか?
②仮にショック症状が起こるとしたら、PHの数値にどのくらいの差があるとショック症状が起こるとされておりますでしょうか?
※植物の種類によって当然、差があるだろうというのは承知しておりますので、参考数値的なものがあれば。

また、長年植替えなどをしていないなどの
何かしらの要因でPHが下がった状態の植物を、
本来その植物が好むPHの物に植え替えする場合、
③ショック症状が起こる可能性があるのか?
④熱帯魚などに見られる水合わせのように、植物もPHを慣らすための工程が必要なのか?

特に植物のPHにおけるショック症状について教えて頂きたく存じます。
jojo 様

本コーナーへの質問、ありがとうございました。

ご質問は、特に観葉植物を栽培している際のpH変化(ショックと表現されておられますが)に、観葉植物はどう対応しているのかということかと思われます。観葉植物の栽培には、おそらく市販の培養土や肥料などを使われていると思われます。一般に、観葉植物の生育速度は、畑作物などに比較して遅く、従って土壌からの養分吸収なども遅いと考えられます。
土壌のpHは、特に酸やアルカリ成分を加えない限りは、土壌にある栄養成分のバランスや植物が根から放出する物質などで決まっています。特殊な土壌を用いない限りは、大気中のCO2が溶け込むことを考慮しても、pHが大きく変化することはないと思われます。
同時に、jojo様が心配されているようなpH変化に対するショックとか、pH変化に植物をならす必要は、上記の条件では考える必要はないと思われます。

 日本の土壌は火山灰由来のものが多く、硫黄分を含むことから、一般には酸性に傾きがちです。pH5.0以下になると、土壌中からAl3+が溶け出して酸性障害が起こることが知られています。詳細は、本コーナーの登録番号6019をお読みください。また、極端に石灰などアルカリ成分を大量に加えると、鉄が不溶化して一時的には鉄欠乏などのアルカリの害がでるかもしれません。(酸性土壌の中和には、必要な作業です)。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-06-01