質問者:
大学生
よし
登録番号6186
登録日:2025-06-02
バナナの食べる部分は内果皮と中果皮であると知りました。中心部が内果皮ということですが、どこまでが内果皮でどこからが中果皮なのでしょうか。みんなのひろば
バナナの内果皮と中果皮・バナナの断面に浮かび上がる形
バナナの断面を見ると中心部にアルファベットのYのような形が3つ見えます。
また、皮をつけたまま、炒めたり焼いたりすると皮の中の部分が円を3等分するような形に分かれます。
この「3」という数には何か理由があるのでしょうか。
よろしくお願いします。
よし様、
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「バナナの内果皮と中果皮」と「バナナの断面に浮かび上がる形」にお答えします。続けて2つのバナナの果実に関するご質問を頂きましたので、一緒にして考えることにします。
果物にはたくさんの種類があり、雌蕊の子房の部分が肥大して出来る真果でも食べられる果肉が子房壁のどの部分に由来するかも様々です。ウメやモモのような核果では内果皮と中果皮との違いが明瞭ですが、その他の果物では内果皮と中果皮の区別が難しいものが多いです。両者の組織は連続していて細胞の形態も同じだからです。バナナも可食部は内果皮と中果皮とだけ表現されて、具体的にどこが中果皮でどこが内果皮と明記している資料はまず見掛けません。国連食糧農業機関(FAO)の資料では中果皮が主要な可食部であるとしていますが、やはり、具体的にどことは示していません。というわけで、「どこまでが内果皮でどこからが中果皮なのか」とのご質問には「はっきりとは分からない」というのが正しい答かと思います。
「皮の中の部分が円を3等分するような形に分かれる」というのは、雌蕊を構成する心皮が3枚で、それぞれが肥大して1つの果実を形成したことを示しています。単子葉植物であるバナナの花は他の単子葉植物の多くと同じように、各花器官の数は3の倍数で、心皮も3枚なのです。
以下は私見です。バナナを輪切りにして断面を観察してみました。「円を3等分した」扇の形の要付近(果実の中心部)には色の濃い部分があって、確かにYの字に見えます。この部分は可食部の大半を占める白い組織(FAOの資料に従えば、おそらく中果皮)とは異質です。この部分には小さな黒い点が含まれていますが、これは、単為結果である故に種子とならなかった胚珠の名残です。胚珠は心皮の内側に着いているもので、心皮の内側が内果皮に発達します。これらのことから、このY字の部分が内果皮に相当するのではないかと推察します。真相は分かりませんが、一つの見解としてご理解頂ければ幸いです。
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「バナナの内果皮と中果皮」と「バナナの断面に浮かび上がる形」にお答えします。続けて2つのバナナの果実に関するご質問を頂きましたので、一緒にして考えることにします。
果物にはたくさんの種類があり、雌蕊の子房の部分が肥大して出来る真果でも食べられる果肉が子房壁のどの部分に由来するかも様々です。ウメやモモのような核果では内果皮と中果皮との違いが明瞭ですが、その他の果物では内果皮と中果皮の区別が難しいものが多いです。両者の組織は連続していて細胞の形態も同じだからです。バナナも可食部は内果皮と中果皮とだけ表現されて、具体的にどこが中果皮でどこが内果皮と明記している資料はまず見掛けません。国連食糧農業機関(FAO)の資料では中果皮が主要な可食部であるとしていますが、やはり、具体的にどことは示していません。というわけで、「どこまでが内果皮でどこからが中果皮なのか」とのご質問には「はっきりとは分からない」というのが正しい答かと思います。
「皮の中の部分が円を3等分するような形に分かれる」というのは、雌蕊を構成する心皮が3枚で、それぞれが肥大して1つの果実を形成したことを示しています。単子葉植物であるバナナの花は他の単子葉植物の多くと同じように、各花器官の数は3の倍数で、心皮も3枚なのです。
以下は私見です。バナナを輪切りにして断面を観察してみました。「円を3等分した」扇の形の要付近(果実の中心部)には色の濃い部分があって、確かにYの字に見えます。この部分は可食部の大半を占める白い組織(FAOの資料に従えば、おそらく中果皮)とは異質です。この部分には小さな黒い点が含まれていますが、これは、単為結果である故に種子とならなかった胚珠の名残です。胚珠は心皮の内側に着いているもので、心皮の内側が内果皮に発達します。これらのことから、このY字の部分が内果皮に相当するのではないかと推察します。真相は分かりませんが、一つの見解としてご理解頂ければ幸いです。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-06-16