質問者:
公務員
のら
登録番号6188
登録日:2025-06-02
6本主枝仕立てのブドウにおいて、主幹に近い特定の主枝の樹勢が過剰に強い状態です。樹勢抑制策として、以下の点についてご教示ください。環状剥皮に関して
一般的に、主幹部に環状剥皮を施すと、師管の切断によって根への養分転流が抑制され、樹全体の樹勢が減衰すると理解しています。
今回のケースでは、樹勢を弱めたいのは特定の主枝のみです。そこで、該当する主枝に限定して環状剥皮を施すことを検討しています。
主枝に環状剥皮を施した場合、環状剥皮箇所より主幹側への養分転流が阻害されるため、当該樹全体の樹勢は抑制されると予想されます。
一方で、環状剥皮箇所に養分が滞留することで、環状剥皮より先端側の組織において、かえって樹勢が促進される可能性はないのでしょうか?
主枝に限定した環状剥皮が、当該主枝の樹勢に及ぼす影響について、理論的な考察と、実際の栽培における事例等に基づいたご見解をお伺いしたいです。
のら様
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
6本主枝仕立てのブドウ栽培というのは知りませんでしたので、youtubeでその作り方を学びました。要するに、栽培の作業をし易くするために主幹から6本の枝を選び横方向へ均等に伸ばして育てる方法で、8本を使うダブルH方式より、作業が楽だということですね。この動画での説明によると、6本のどの枝も同じ太さになるように枝の分技に工夫してしているようです。のら様の場合はそれがうまくいかなかったので、環状剥離でなんとかしたいということですね。
本学会の扱う研究分野は、果樹栽培などの実際面のことについての専門的なことは含まれませんので、環状剥離の生理学的な面から説明いたします。
環状剥皮の主たる目的は樹木を自然に枯らしたり、一部の枝を取り除いたりするためにおこなわれていますが、園芸の分野では、特に果樹園芸では、大きい果実を得るためにおこなわれています。環状剥皮のことについてはすでに必要な知識を持っておられると思いますが、本Q&Aコーナーでも取り上げられていますのでお読みください(例えば、登録番号4967, 5377)。 これらの事柄をご理解されているという前提で、重複はありますが、一応簡単に環状剥離についてまとめてみます。
ご質問にもありますように、環状剥離をほどこすと、葉の光合成産物(有機栄養)はその場所より上部にとどまり、下部には輸送(転流)されません。もし剥離部が葉のついた枝のない幹の部分であれば、根への栄養供給が断たれることになり、結局その樹は枯れて(死んで)しまいます。しかし、枝葉の多い樹木ならば、数本程度の枝で環状剥離を施して、栄養輸送が減少しても、全体として大きな影響を受けないかもしれません。むしろ繁り過ぎてそれぞれの葉の受光量が小さい場合、一部の枝を取り除けば樹木全体の光合成活動が高まることも考えられます。
環状剥離と言っても、どの程度行うかでも影響は異なります。木部形成層の外側の篩部(光合成産物の通路)が含まれるいわゆる樹皮(バーク)だけを丁寧に剥ぎ取るのですが、その幅も重要です。また、形成層の内側の導管部まで深く切ってしまうと、根からの水と溶けている無機栄養分の供給も断たれてしまいます。枝にこのような形で剥離を施せば、その枝は枯れてしまいます。
剥離の範囲が広くなければ、切り口に形成される癒傷組織が繋がって、傷口を覆い樹皮の修復(篩管が繫る)が成ります。果樹園芸で剥離を行なっている場合は大体1ヶ月くらいで修復されるようです。
果樹における環状剥離は、より大きい、また糖度の高い果実を得るために行います。つまり枝の葉の光合成産物を樹の他の部分に使わせないで、その枝の果実の成長につぎ込ませるのです。したがって、環状剥離を行う時期も重要です。
のら様の成長が良すぎる枝というのは、伸長が著しいというこなのか、肥大成長が著しいのか、両方共か、どちらでしょう。いずれにしても、ふつう剥離を行うと、切口には光合成産物が切り口付近に溜まり一時的にその枝の部分で肥大成長が見られるようです。しかし、時間と共に枝自体の栄養成長は低下すると報告されています。枯れることもありますので、注意してください。
もし、伸びるのが早いということであれば、茎頂を切除して一旦伸長成長を止め、腋芽を伸ばしてやれば、全体の成長は遅れることになるのではないかと思います。
果樹における環状剥離の利用は種類によって同じではないようです。具体的なことはブドウ栽培研究の専門家に聞かなければ分かりませんが、ブドウの場合について実際的な解説がありましたので、添付しますから読んでください。英語ですが、もし日本語が望ましい場合はネットのアプリで翻訳してください。
お役に立てたかどうか分かりませんが、また、疑問がありましたらQ&Aコーナーへ質問をお寄せください。
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
6本主枝仕立てのブドウ栽培というのは知りませんでしたので、youtubeでその作り方を学びました。要するに、栽培の作業をし易くするために主幹から6本の枝を選び横方向へ均等に伸ばして育てる方法で、8本を使うダブルH方式より、作業が楽だということですね。この動画での説明によると、6本のどの枝も同じ太さになるように枝の分技に工夫してしているようです。のら様の場合はそれがうまくいかなかったので、環状剥離でなんとかしたいということですね。
本学会の扱う研究分野は、果樹栽培などの実際面のことについての専門的なことは含まれませんので、環状剥離の生理学的な面から説明いたします。
環状剥皮の主たる目的は樹木を自然に枯らしたり、一部の枝を取り除いたりするためにおこなわれていますが、園芸の分野では、特に果樹園芸では、大きい果実を得るためにおこなわれています。環状剥皮のことについてはすでに必要な知識を持っておられると思いますが、本Q&Aコーナーでも取り上げられていますのでお読みください(例えば、登録番号4967, 5377)。 これらの事柄をご理解されているという前提で、重複はありますが、一応簡単に環状剥離についてまとめてみます。
ご質問にもありますように、環状剥離をほどこすと、葉の光合成産物(有機栄養)はその場所より上部にとどまり、下部には輸送(転流)されません。もし剥離部が葉のついた枝のない幹の部分であれば、根への栄養供給が断たれることになり、結局その樹は枯れて(死んで)しまいます。しかし、枝葉の多い樹木ならば、数本程度の枝で環状剥離を施して、栄養輸送が減少しても、全体として大きな影響を受けないかもしれません。むしろ繁り過ぎてそれぞれの葉の受光量が小さい場合、一部の枝を取り除けば樹木全体の光合成活動が高まることも考えられます。
環状剥離と言っても、どの程度行うかでも影響は異なります。木部形成層の外側の篩部(光合成産物の通路)が含まれるいわゆる樹皮(バーク)だけを丁寧に剥ぎ取るのですが、その幅も重要です。また、形成層の内側の導管部まで深く切ってしまうと、根からの水と溶けている無機栄養分の供給も断たれてしまいます。枝にこのような形で剥離を施せば、その枝は枯れてしまいます。
剥離の範囲が広くなければ、切り口に形成される癒傷組織が繋がって、傷口を覆い樹皮の修復(篩管が繫る)が成ります。果樹園芸で剥離を行なっている場合は大体1ヶ月くらいで修復されるようです。
果樹における環状剥離は、より大きい、また糖度の高い果実を得るために行います。つまり枝の葉の光合成産物を樹の他の部分に使わせないで、その枝の果実の成長につぎ込ませるのです。したがって、環状剥離を行う時期も重要です。
のら様の成長が良すぎる枝というのは、伸長が著しいというこなのか、肥大成長が著しいのか、両方共か、どちらでしょう。いずれにしても、ふつう剥離を行うと、切口には光合成産物が切り口付近に溜まり一時的にその枝の部分で肥大成長が見られるようです。しかし、時間と共に枝自体の栄養成長は低下すると報告されています。枯れることもありますので、注意してください。
もし、伸びるのが早いということであれば、茎頂を切除して一旦伸長成長を止め、腋芽を伸ばしてやれば、全体の成長は遅れることになるのではないかと思います。
果樹における環状剥離の利用は種類によって同じではないようです。具体的なことはブドウ栽培研究の専門家に聞かなければ分かりませんが、ブドウの場合について実際的な解説がありましたので、添付しますから読んでください。英語ですが、もし日本語が望ましい場合はネットのアプリで翻訳してください。
お役に立てたかどうか分かりませんが、また、疑問がありましたらQ&Aコーナーへ質問をお寄せください。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-06-12