質問者:
小学生
おきい様
登録番号6206
登録日:2025-06-27
ピーマンのおしりにあるこぶは3個がオス、4個がメスと書いているのがありました。しかしこのきじには遺伝子の関係と書いてあります。どちらが正しいのですか?
みんなのひろば
ピーマンのおしりの形
おきい様
Q&Aコーナーヘようこそ。かんげいいたします。するどいかんさつですね。
まず、オス/メスとのことについて説明しましょう。 ピーマンだけでなく、全ての果実は花の部分が成長したものです。たいていの場合はめしべの下部にある子房(シボウ)が大きくなったもので、この中で種子が作られます。種子の中には次の世代となる胚(ハイ)がおさまっています。つまり。果実は種子(胚)を育て、守る入れ物(培養器)のようなものです。ピーマンも同じで、中にたくさんの種子がありますね。さて、この種子(胚)はどのようにして子房の中でつくられるかというと、花の時、子房の中に胚珠(ハイシュ)があり、その中に卵細胞があります。他方おしべでは花粉がつくられます。その花粉がめしべの先端(柱頭:チュウトウ)につくと(受粉)、花粉から花粉管という管がのびて胚珠に到達します。すると、花粉管の先端が破れて、中の精細胞が胚珠の内にはいり、受精が行われます。その受精卵から胚がつくられ、胚珠といっしょに種子ができるのです。ピーマンの子房はいくつかの子室(子房室)に仕切られていてそれぞれに複数の胚珠があるので、種子も多いのです。
以上簡単に果実の出来方を説明しましたが、メスの果実/オスの果実などいうものはないことががおわかりになったかとおもいます。ピーマンはナス科の植物で、花は中央に一本のめしべと周辺に5本のおしべと両方がある両性花(リョウセイカ)で、自分のメシベとオシベで受粉・受精をすますことができる完全花です。
雄花と雌花とが別々にある(単性花)植物もたくさんの種類がありますが、果実ができるのは雌花だけです。
次に、じゃなぜお尻の出っ張りは数が一様でないのかということです。私はピーマンのお尻には特別に注意をはらったことはなかったので、冷蔵庫の中にあった市販のピーマンを調べてみました。5、4、3、0(これは先端がややとがっていた)がありました。ピーマンを輪切りするとわかるように、中は空洞のいくつかの部屋に分かれています。これらの空洞は、上にも書きましたが、子房室です。そして、お尻の出っ張りはそれぞれの子房室の先端となっています。したがって、出っ張りの数は子房室の数といっしょです。その数はなにによってきまるのかというと、質問にもあるように、遺伝子が関係しています。したがって、栽培品種によっても違いはあるようです。ピーマンではありませんが、同じナス科のトマトの子房室(子室)の数について、遺伝子がどのように関係しているかが、本Q&Aコーナーへの質問・回答に説明されています(登録番号5402)。しかし、小学生の方には難しいとおもいますので、ご両親か誰かに読んで解説してもらってください。さらに、実際の栽培上の問題としては、出っぱりの数、つまり子房室の数は温度、水やり、日照や肥料(栄養)などの成長条件の影響を受けるようです。
ピーマンの3こぶはおす、4こぶはめすなどという説明は一体どこから出てきたのか、気になったので調べてみました。アメリカのツイッター(Twitter)、フェースブック(Facebook)、インスタグラム(Instagram)などのいわゆるSNSに、2013年頃登場し、そのご急速に広がったようです。しかしいまは、そのような言説は誤りであると、正しい説明がなされています。SNSはいいかげんな話が非常に多いことが問題なっています。だれともわからない無責任な発言に惑わされないように注意しましょう。
自然界の、特に生物の形、色、動き、変化などを注意深く観察していると、ふしぎなことがいっぱいありますね。これからも観察眼を養っていろいろ質問しでください。
Q&Aコーナーヘようこそ。かんげいいたします。するどいかんさつですね。
まず、オス/メスとのことについて説明しましょう。 ピーマンだけでなく、全ての果実は花の部分が成長したものです。たいていの場合はめしべの下部にある子房(シボウ)が大きくなったもので、この中で種子が作られます。種子の中には次の世代となる胚(ハイ)がおさまっています。つまり。果実は種子(胚)を育て、守る入れ物(培養器)のようなものです。ピーマンも同じで、中にたくさんの種子がありますね。さて、この種子(胚)はどのようにして子房の中でつくられるかというと、花の時、子房の中に胚珠(ハイシュ)があり、その中に卵細胞があります。他方おしべでは花粉がつくられます。その花粉がめしべの先端(柱頭:チュウトウ)につくと(受粉)、花粉から花粉管という管がのびて胚珠に到達します。すると、花粉管の先端が破れて、中の精細胞が胚珠の内にはいり、受精が行われます。その受精卵から胚がつくられ、胚珠といっしょに種子ができるのです。ピーマンの子房はいくつかの子室(子房室)に仕切られていてそれぞれに複数の胚珠があるので、種子も多いのです。
以上簡単に果実の出来方を説明しましたが、メスの果実/オスの果実などいうものはないことががおわかりになったかとおもいます。ピーマンはナス科の植物で、花は中央に一本のめしべと周辺に5本のおしべと両方がある両性花(リョウセイカ)で、自分のメシベとオシベで受粉・受精をすますことができる完全花です。
雄花と雌花とが別々にある(単性花)植物もたくさんの種類がありますが、果実ができるのは雌花だけです。
次に、じゃなぜお尻の出っ張りは数が一様でないのかということです。私はピーマンのお尻には特別に注意をはらったことはなかったので、冷蔵庫の中にあった市販のピーマンを調べてみました。5、4、3、0(これは先端がややとがっていた)がありました。ピーマンを輪切りするとわかるように、中は空洞のいくつかの部屋に分かれています。これらの空洞は、上にも書きましたが、子房室です。そして、お尻の出っ張りはそれぞれの子房室の先端となっています。したがって、出っ張りの数は子房室の数といっしょです。その数はなにによってきまるのかというと、質問にもあるように、遺伝子が関係しています。したがって、栽培品種によっても違いはあるようです。ピーマンではありませんが、同じナス科のトマトの子房室(子室)の数について、遺伝子がどのように関係しているかが、本Q&Aコーナーへの質問・回答に説明されています(登録番号5402)。しかし、小学生の方には難しいとおもいますので、ご両親か誰かに読んで解説してもらってください。さらに、実際の栽培上の問題としては、出っぱりの数、つまり子房室の数は温度、水やり、日照や肥料(栄養)などの成長条件の影響を受けるようです。
ピーマンの3こぶはおす、4こぶはめすなどという説明は一体どこから出てきたのか、気になったので調べてみました。アメリカのツイッター(Twitter)、フェースブック(Facebook)、インスタグラム(Instagram)などのいわゆるSNSに、2013年頃登場し、そのご急速に広がったようです。しかしいまは、そのような言説は誤りであると、正しい説明がなされています。SNSはいいかげんな話が非常に多いことが問題なっています。だれともわからない無責任な発言に惑わされないように注意しましょう。
自然界の、特に生物の形、色、動き、変化などを注意深く観察していると、ふしぎなことがいっぱいありますね。これからも観察眼を養っていろいろ質問しでください。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-07-03