質問者:
中学生
室崎優奈
登録番号6231
登録日:2025-08-03
私が理科関連の本を読んでいた時に、ふと双子葉類のことが浮かんできました。そして、なぜ双子葉類は2つの葉の芽を出すのかと、疑問が浮かんできました。そのまま本を読んだり、ネットで調べてみたりしたのですが、答えが得られませんでした。単子葉類のことに関しても教えてくれると嬉しいです。
みんなのひろば
双子葉類の子葉が双葉である必要があったのはなぜ?
室崎さん
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
ご質問は、植物の進化の問題に詳しい基礎生物学研究所教授で、日本植物学会会長の長谷部光泰先生にお願いしました。以下がその回答です。
【長谷部先生の回答】
双子葉類と単子葉類は、どちらも被子植物です。研究から、単子葉類は双子葉類から進化してきたことがわかっています。子葉(しよう:ふたばのこと)が2枚あった双子葉類で、2枚がくっついたり、1枚がなくなったりして、1枚だけの単子葉になったと考えられています。
このことから、被子植物の祖先は双子葉だったと推測されます。
では、その被子植物に近い仲間は何でしょうか。
もっとも近いのは、マツやイチョウなどの「裸子植物」です。ほとんどの裸子植物も、子葉が2枚あります。被子植物と裸子植物は、約3億年前に同じ祖先から分かれたと考えられています。両方とも子葉が2枚ということは、祖先も子葉が2枚だった可能性が高いのです。つまり、双子葉類が子葉を2枚もつのは、約3億年前の祖先から受け継いだ性質なのです。
では、その祖先はなぜ子葉を2枚持っていたのでしょうか。実は、この答えはまだわかっていません。ここからは私の推測です。被子植物や裸子植物の祖先をもっとさかのぼると、葉も根もなく、二又(ふたまた)に分かれる茎だけの植物にたどり着きます。つまり、植物の体をつくるときに「2つに分かれる」という性質は、とても基本的な性質のようです。
さらに推測すると、この「2つに分かれる」性質は、枝をつくるもとになる「幹細胞(かんさいぼう)」が、1つから2つに分かれることで起こります。細胞は分裂するとき、ふつう2つに分かれますよね。なぜ3つや4つには分かれないのでしょうか(まれに4つに分かれる細胞もありますが)。
生物の世界は、いろいろなことがつながっています。
双子葉類が子葉を2枚つくる理由も、もしかしたら「なぜ細胞が2つに分かれるのか」ということを解明すれば、わかるようになるかもしれません。
=====
なお、本コーナーでは関連する質問が過去にいくつもあります。単子葉との関係など登録番号0777, 0937, 1856, 3783などを読んで下さい。
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
ご質問は、植物の進化の問題に詳しい基礎生物学研究所教授で、日本植物学会会長の長谷部光泰先生にお願いしました。以下がその回答です。
【長谷部先生の回答】
双子葉類と単子葉類は、どちらも被子植物です。研究から、単子葉類は双子葉類から進化してきたことがわかっています。子葉(しよう:ふたばのこと)が2枚あった双子葉類で、2枚がくっついたり、1枚がなくなったりして、1枚だけの単子葉になったと考えられています。
このことから、被子植物の祖先は双子葉だったと推測されます。
では、その被子植物に近い仲間は何でしょうか。
もっとも近いのは、マツやイチョウなどの「裸子植物」です。ほとんどの裸子植物も、子葉が2枚あります。被子植物と裸子植物は、約3億年前に同じ祖先から分かれたと考えられています。両方とも子葉が2枚ということは、祖先も子葉が2枚だった可能性が高いのです。つまり、双子葉類が子葉を2枚もつのは、約3億年前の祖先から受け継いだ性質なのです。
では、その祖先はなぜ子葉を2枚持っていたのでしょうか。実は、この答えはまだわかっていません。ここからは私の推測です。被子植物や裸子植物の祖先をもっとさかのぼると、葉も根もなく、二又(ふたまた)に分かれる茎だけの植物にたどり着きます。つまり、植物の体をつくるときに「2つに分かれる」という性質は、とても基本的な性質のようです。
さらに推測すると、この「2つに分かれる」性質は、枝をつくるもとになる「幹細胞(かんさいぼう)」が、1つから2つに分かれることで起こります。細胞は分裂するとき、ふつう2つに分かれますよね。なぜ3つや4つには分かれないのでしょうか(まれに4つに分かれる細胞もありますが)。
生物の世界は、いろいろなことがつながっています。
双子葉類が子葉を2枚つくる理由も、もしかしたら「なぜ細胞が2つに分かれるのか」ということを解明すれば、わかるようになるかもしれません。
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なお、本コーナーでは関連する質問が過去にいくつもあります。単子葉との関係など登録番号0777, 0937, 1856, 3783などを読んで下さい。
長谷部 光泰(基礎生物学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2025-08-16
勝見 允行
回答日:2025-08-16