一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ポーチュラカはなぜ違う色が咲くのか

質問者:   一般   ゆめ
登録番号6248   登録日:2025-08-22
自宅の近くの駅前にポーチュラカが植えられていて、小1の娘と「綺麗だね」と毎日見ていたところ、一枚だけ花びらの色が違うものや、黄色い花の中に1つだけピンクの色が咲いているものなど、不思議な花を見つけました。
娘が興味を持ったので自由研究のテーマに選び、毎日観察を続けました。すると、違う色が咲きやすい色と、一度も咲かない色があることがわかりました。
なぜ元の色と違う色の花が咲くのか、また、違う色が咲きやすい色と、咲かない色があるのはなぜかを知りたいと思い質問させていただきました。
しぼり咲きが1番多く毎日30ほど違う色が咲いており、次にライトピンク、イエロー、オレンジ、ピンクが5日に1度ほど違う色が咲き、ホワイト、ローズ、レッドは1度も違う色が咲いていませんでした。
もしわかる方がいらっしゃいましたら、ご回答よろしくお願いいたします。
ゆめ様

Q & Aコーナーへ質問をいただきありがとうございます。

ポーチュラカ、マツバボタンの花の色は、遺伝の学習でもよく取り上げられるかと思います。
よく、赤色と白色で説明されており、赤色が顕性、白色が潜性のため、純系の赤と白を交配すると、1代目はすべて赤色、1代目を交配すると、赤と白が3:1で現れるとされます。

色素は、花の色に多いアントシアニンではなく、ベタレインという窒素を含むものです。
ブーゲンビリアやオシロイバナ、赤ビート、ほうれん草の根もとの赤色などの色素です。
さらに詳しく説明すると、ベタレインには、赤紫色のベタシアニンと黄色のベタキサンチンがあります。
その両者が混在すると、橙色の花色になります。

ベタシアニンとベタキサンチンは構造が若干異なりますが、いずれもアミノ酸から生合成されます。
途中までは同じ経路をたどり、最後のところで、反応する基質がちがってそれぞれになります。
従って、いろいろな花の色が出るのは、最後のところの反応が、どちらに向けて起きるのか両方が起きるのか、そのバランス、違いによるものではないかと考えられます。

通常、どの生合成経路が働くかは遺伝的に制御されていますが、ポーチュラカでは、環境要因や、なんらかのはずみで、それが切り替わることがあるのかもしれません。
そのために、ご覧になったような現象がおきているのかもしれません。

証明するには、色素の分析や、それぞれの色の花弁で働いている酵素や酵素遺伝子の分析が必要になります。

Q &Aコーナーにもそれらについて詳しく解説されていますから参考にしてください
登録番号2681, 2060
吉田 久美(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-10-07