質問者:
一般
不思議いっぱい子
登録番号6256
登録日:2025-09-04
子房が3室で胚珠が6個あるのに、熟した果実には大きな種子が1個だけ入っているという情報に「えっ?」っと驚きました。みんなのひろば
本当は6つ子のトチの実?
早速探しました。
退化した胚珠は茶色で3ミリくらいでうすぺったいのですが、ちゃんとへそもあり、正しくトチの実で、感激しました。
小さいのを6個にせず、1個を大きくしたのは生き残り戦略とのことです。
ということは、6個から徐々に数を減らし現在は一個が普通になったということでしょうか?弱った枝には2個の種子がついていることもあるとかの噂もあったりします。
化石で6個以下の種子が入っているのが見つかっていれば、進化した結果なんだと納得できるのですが。
スダジイで一個の核斗に小さめのどんぐりが3個入っているのをみつけました。
この場合も進化でしょうか?突然変異?でしょうか?
不思議いっぱい子様
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
確かに、トチノキ(Aesculus turbinata)もセイヨウトチノキ(マロニエ:Aesculus hippocastanum)も同じように種子の数は1個での場合が多いようです。しかし、実際に研究報告をしらべてみると、種子数にはバラツキがあるようです。トチノキは雄花と両性花と2種類の花があり、果実/種子ができるのは勿論両性花だけです。両性花の雄蕊は勿論花粉を提供しますが、雄花も花粉を提供します。開花が終わって、受粉/受精が済むと果実の成長が始まりますが、トチノキは未成熟果実の時に大量に落果がおきるだけでなく、成熟しても落果がみられます。なぜ落果が多いのかは明確ではありませんが、可能性としては受粉/受精の失敗、受粉量の不足、昆虫による傷害、幼果実の病害が挙げられるそうです。
ご質問では、トチノキは生き残り戦略として、確実に健全な1個の種子を残すように進化してきたと理解されているようですが、そういう研究報告はありません。ある実験では自然受粉させた場合、種子の数は1〜6とバラツキがあり、平均2.3と報告されています。別の研究によると、複数種子ができる割合は0〜40%で、平均は11〜13%となっています。 後者の研究では、種子数に変動があることは、栄養源の多少/節約、花粉親の遺伝子型(他家受精の場合)、花粉の制限などは直接関係がないようです。また、同一果実内の複数の種子のそれぞれの重量が小さくなることもないということです。
以上のような事から、トチノキの種子数は1個が多いということを進化と結びつける証拠はないと思います。
主な参考資料 (ネットで閲覧できます)
谷口真吾 トチノキの育種に関する研究(1)ー人工授粉による結実および果実の発育経過ー 日林関西支論4(1995)
川口英之 トチノキの果実あたり種子数の変動とその要因 科学研究費補助金研究成果報告書 基礎研究C (2006~2008)
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
確かに、トチノキ(Aesculus turbinata)もセイヨウトチノキ(マロニエ:Aesculus hippocastanum)も同じように種子の数は1個での場合が多いようです。しかし、実際に研究報告をしらべてみると、種子数にはバラツキがあるようです。トチノキは雄花と両性花と2種類の花があり、果実/種子ができるのは勿論両性花だけです。両性花の雄蕊は勿論花粉を提供しますが、雄花も花粉を提供します。開花が終わって、受粉/受精が済むと果実の成長が始まりますが、トチノキは未成熟果実の時に大量に落果がおきるだけでなく、成熟しても落果がみられます。なぜ落果が多いのかは明確ではありませんが、可能性としては受粉/受精の失敗、受粉量の不足、昆虫による傷害、幼果実の病害が挙げられるそうです。
ご質問では、トチノキは生き残り戦略として、確実に健全な1個の種子を残すように進化してきたと理解されているようですが、そういう研究報告はありません。ある実験では自然受粉させた場合、種子の数は1〜6とバラツキがあり、平均2.3と報告されています。別の研究によると、複数種子ができる割合は0〜40%で、平均は11〜13%となっています。 後者の研究では、種子数に変動があることは、栄養源の多少/節約、花粉親の遺伝子型(他家受精の場合)、花粉の制限などは直接関係がないようです。また、同一果実内の複数の種子のそれぞれの重量が小さくなることもないということです。
以上のような事から、トチノキの種子数は1個が多いということを進化と結びつける証拠はないと思います。
主な参考資料 (ネットで閲覧できます)
谷口真吾 トチノキの育種に関する研究(1)ー人工授粉による結実および果実の発育経過ー 日林関西支論4(1995)
川口英之 トチノキの果実あたり種子数の変動とその要因 科学研究費補助金研究成果報告書 基礎研究C (2006~2008)
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-09-08
