一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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同じ株のアジサイの花の色が異なる現象について

質問者:   教員   額鷹
登録番号6261   登録日:2025-09-21
信頼できる知見を得られる場として,お世話になっております。このような場を運営して下さっている方々に感謝です。

さて,質問させて頂きたいのは,同じ株のアジサイの花(萼片)の色が異なる現象についてです(アジサイの花色の発色機構については,検索して他の解答を読んでおります)。

状況を簡単に図式化して記述します。

壁(おそらくブロック)の近くに複数の株のアジサイが並んでおり,壁に近い側(下図●の位置)の株の花はすべて赤で,壁から遠い側(下図◯の位置)の株の花はすべて青い。

★の位置の株では,壁側の半分が赤く,残り半分が青い。まるで,線を引いたかのように半々になっているのです。

■■■■ 壁(おそらくブロック)
 ●   (色はすべて赤)
 ★   (壁側が赤,反対側が青)
 〇   (色はすべて青)

素人考えで,まず,ブロックから溶け出した物質によってpHの勾配ができており,壁側に近い土壌が中性~アルカリ性であるため赤色,壁から遠い側では土壌が酸性であるため青色ではないかと思いました。

しかし,この考えが成立するか自信がありません。また,成立するとしても,中央の株の中で,位置によって花の色が異なることが,十分には説明できないように思います(質問されて説明できませんでした)。

一株の中で,壁側の根と反対側の根で吸収するAl3+の量が異なるとしても,それが花にまで影響するのでしょうか?
維管束の解剖学的な特徴が関係するようにも思いますが,よくわかりません。

どのように解釈できるのか,お教えいただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
額鷹様

ご質問をありがとうございます。

同じ株のアジサイの花色が異なる現象は、よく見られるものです。

アジサイの質問は、結構たくさん送られており、次の登録番号でご覧いただけます。
登録番号4748, 4561, 1340, 1768, 1334などなど

コンクリートブロックは(専門でないので、書籍他からの知識です)セメントが主成分です。
ポルトランドセメントは、石灰石が主原料で、珪酸三カルシウム、珪酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウムなどが含まれておりそのpHはかなりアルカリ性です。
実際の花の色の違いや萼片の個々の細胞の色が不明ですので、あまりいいかげんなことを返答できませんが、アジサイは、土壌が酸性だと、土壌中のアルミニウムイオンが水に溶けて根かから吸収されて萼片まで運ばれそこでアントシアニンと錯体を形成して青くなります。
一方、土壌が中性-アルカリ性では、アルミニウムイオンが水に溶けませんので、萼片は赤くなります。
ただし、その程度や色変化には、助色素成分も関わることや液胞pHも関与しますから、アジサイの品種によっても違いが現れます。
維管束系については、私は専門ではありませんので、断言はできませんが、一つの株の根がどのように土壌中に張っており、どこから水やミネラルを吸収しているか、それがどの位置の細胞や花へ運ばれるかが、ある程度位置的に決まっているのかもしれません。

色水を吸わせてレインボー色の花をつくることが現在できていますので、維管束系は、さほど捻れておらず、比較的まっすぐに、垂直につながっていて水とミネラルを運んでいるのかもしれません。

わたしたちはよく、紫色の萼片のアジサイを実験材料に用いていましたがご覧になったものは、ぴしっと青と赤にわかれており、紫色の部分はなかったのでしょうか?
そのあたりもちょっと疑問ではあります。

厳密に調べようとする場合は、色の違う萼片の細胞をそれぞれミクロ分析する必要もありましょうし、根の位置とその周辺の土壌pHも測定する必要があるかなあと考えます。
吉田 久美(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-10-31