質問者:
会社員
Figman
登録番号6279
登録日:2025-11-04
フィカスにはいつ液現象があるのでしょうか?多くのフィカスを栽培しています。みんなのひろば
フィカスのいつ液現象の正体
今まで観察したことがありませんでしたが、峨眉山イヌビワの葉に一定の間隔で水滴が着いているのが確認できました。
調べたところ、いつ液は葉の先端や縁で起こるらしく、峨眉山イヌビワは表面の一定の間隔で起きてます。
間隔はリソシスト(鍾乳体細胞)の位置と似ているため関連があるのでしょうか?
一部のフィカスの葉では白い結晶のようなものが表面に沈着する事があります。
花外蜜腺なのか?いつ液なのか?
けどフィカスの蜜腺は葉裏の基部にありますし……。
前日にリキダスとハイポネックス(ミネラル)を与えたのも関係していますか?
Figman様、
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「フィカスのいつ液現象の正体」にお答えします。
峨眉山イヌビワの葉に水滴が着いているとのことですが、私は峨眉山イヌビワという植物を知りませんでしたし、写真のような葉の上の水滴も見たことがありませんので、その正体は分かりません。分かりませんが、私の持てる知識の範囲で推測を進めてみます。
雨や露ではないように見えますので、そうではないとすれば葉から滲みだしてきた水でしょうから、溢泌と考えるのが自然かと思います。植物が体内の水分を水滴として排出する現象に対してはいくつかの用語が使われているようですが、植物学では溢泌または排水が一般的です。溢泌は、湿度が高く蒸散が困難な時、体内の過剰な水分を液体の形で体外に排出する現象なので、常に起こるわけではありませんが珍しいことではありませんから、今まで観察したことがないというのは少々意外です。湿度の低い環境で、控えめな水やりで栽培されているのでしょうか? ただし、溢泌は葉の先端や鋸歯にある排水組織で起こるのが普通ですので、この写真のように葉の表面で起こるのが本当に溢泌であるかどうかは疑問です。しかし、特定のグループの植物では葉の表面に排水組織があるようです。写真の峨眉山イヌビワの葉には鋸歯が無いように見えますし、近縁のイヌビワの葉にも鋸歯は無いので、鋸歯以外の場所に排水組織があると推測されますが、それが写真で見られる場所なのかもしれません。排水組織は光学顕微鏡レベルでも見ることが出来ると思いますので、確認されるとよいと思います。
水滴が着いている場所が鍾乳体細胞の位置と似ているとのことですが、鍾乳体細胞は確認できましたか? そして、水滴があるのは常にその場所でしたか? 鍾乳体細胞から水が排出されるというのは少々考えにくいことですので、確認して頂きたいと思います。また、花外蜜腺が葉の表面に散在する例は無いように思います。蜜腺はしっかりした構造があるので見誤ることは無いと思いますから、これも確認してください。それに峨眉山イヌビワの場合は葉裏の基部にあるとご存じなのならば、問題の水滴が蜜の分泌である可能性は排除してよいでしょう。
葉の上の水滴が溢泌であるとして、それがハイポネックスを与えたことと関係があるかどうかは分かりません。しかし、ハイポネックス中のミネラルが根に取りこまれたことで浸透圧が高まって水分吸収が促進されることはありうるので、そのために体内水分が過剰になり、溢泌が必要になった可能性はあるかもしれません。結晶のようなものが表面に沈着することがあるというのは、鍾乳体の炭酸カルシウムでなければ、与えたハイポネックス中のミネラルが葉まで輸送されて、排出された後に結晶化したのかもしれません。このことも、問題の水滴が溢泌によるものであろうとの推測を支持します。
問題の水滴は溢泌によるものであるとの仮説は、湿度を高くして蒸散を抑えたり、過剰に水やりをしたりすることで検証できます。これらの処理で体内の水分を増やしてやれば過剰な分は排水されるはずですから、そのとき、葉の表面に同じような水滴ができれば仮説は支持されます。また、水やりにハイポネックス溶液を用いれば、水滴ができるだけでなく、それが乾いた後に結晶が生じる可能性がありますから、このことでも仮説の検証ができます。
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「フィカスのいつ液現象の正体」にお答えします。
峨眉山イヌビワの葉に水滴が着いているとのことですが、私は峨眉山イヌビワという植物を知りませんでしたし、写真のような葉の上の水滴も見たことがありませんので、その正体は分かりません。分かりませんが、私の持てる知識の範囲で推測を進めてみます。
雨や露ではないように見えますので、そうではないとすれば葉から滲みだしてきた水でしょうから、溢泌と考えるのが自然かと思います。植物が体内の水分を水滴として排出する現象に対してはいくつかの用語が使われているようですが、植物学では溢泌または排水が一般的です。溢泌は、湿度が高く蒸散が困難な時、体内の過剰な水分を液体の形で体外に排出する現象なので、常に起こるわけではありませんが珍しいことではありませんから、今まで観察したことがないというのは少々意外です。湿度の低い環境で、控えめな水やりで栽培されているのでしょうか? ただし、溢泌は葉の先端や鋸歯にある排水組織で起こるのが普通ですので、この写真のように葉の表面で起こるのが本当に溢泌であるかどうかは疑問です。しかし、特定のグループの植物では葉の表面に排水組織があるようです。写真の峨眉山イヌビワの葉には鋸歯が無いように見えますし、近縁のイヌビワの葉にも鋸歯は無いので、鋸歯以外の場所に排水組織があると推測されますが、それが写真で見られる場所なのかもしれません。排水組織は光学顕微鏡レベルでも見ることが出来ると思いますので、確認されるとよいと思います。
水滴が着いている場所が鍾乳体細胞の位置と似ているとのことですが、鍾乳体細胞は確認できましたか? そして、水滴があるのは常にその場所でしたか? 鍾乳体細胞から水が排出されるというのは少々考えにくいことですので、確認して頂きたいと思います。また、花外蜜腺が葉の表面に散在する例は無いように思います。蜜腺はしっかりした構造があるので見誤ることは無いと思いますから、これも確認してください。それに峨眉山イヌビワの場合は葉裏の基部にあるとご存じなのならば、問題の水滴が蜜の分泌である可能性は排除してよいでしょう。
葉の上の水滴が溢泌であるとして、それがハイポネックスを与えたことと関係があるかどうかは分かりません。しかし、ハイポネックス中のミネラルが根に取りこまれたことで浸透圧が高まって水分吸収が促進されることはありうるので、そのために体内水分が過剰になり、溢泌が必要になった可能性はあるかもしれません。結晶のようなものが表面に沈着することがあるというのは、鍾乳体の炭酸カルシウムでなければ、与えたハイポネックス中のミネラルが葉まで輸送されて、排出された後に結晶化したのかもしれません。このことも、問題の水滴が溢泌によるものであろうとの推測を支持します。
問題の水滴は溢泌によるものであるとの仮説は、湿度を高くして蒸散を抑えたり、過剰に水やりをしたりすることで検証できます。これらの処理で体内の水分を増やしてやれば過剰な分は排水されるはずですから、そのとき、葉の表面に同じような水滴ができれば仮説は支持されます。また、水やりにハイポネックス溶液を用いれば、水滴ができるだけでなく、それが乾いた後に結晶が生じる可能性がありますから、このことでも仮説の検証ができます。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-11-17
