一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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大根のひげ

質問者:   その他   廣瀬 博
登録番号0628   登録日:2006-05-04
大根にひげ?(細い根)が、沢山出来ます。土壌が悪いのか、肥料が不足しているのか?又は別の原因か?
教えて下さい。
廣瀬 博 さん:

ダイコンのひげ根がたくさんできるとのことですが、ある特定の品種で見られることなのか、品種に関わらず広瀬さんの畑(あるいは近隣すべての畑)で見られることなのか、毎年同じ畑でおきることなのか分かりませんが、品種によるひげ根の状況(太さ、多少)に幾らか違いはあります。古い品種は最近の品種に比べるとひげ根が多い傾向があります。海岸に自生するハマダイコンは栽培ダイコンが野生化したもの、栽培ダイコンの祖先種、あるいは関係ないとするなど諸説がありますが、両者は植物分類学上は同種とされています。ハマダイコンを畑などで栽培をすると柔らかい大根のようになりますが、ひげ根がたくさん出ます。
ダイコンの主な可食部、大根は一次根と茎の下部(胚軸)が一体となって肥大したもので、ひげ根は側根(大根上部の胚軸部分から出るのは不定根と呼んだ方が適当でしょう)にあたります。ひげ根が多いということは側根あるいは不定根形成が盛んになったことになります。側根も不定根も形成の仕組みは類似しており、大根を輪切りにした断面の限られた場所からできますのでひげ根は縦に並んで出ます。その形成は植物ホルモン(オーキシンやエチレン)の影響を大きく受けることが分かっています。
もしも、特定の品種だけに見られるのでなく、広瀬さんの畑で特にこのようなダイコンができるとするなら、オーキシン系農薬の残留とか植物性有機肥料の過剰施肥などが要因として考えられますがどのような状況なのかをもう少し調査することが必要かと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-05-09