一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ハート型の葉のクローバー

質問者:   公務員   サーモン
登録番号6294   登録日:2025-12-22
初めて質問します。
先日シロツメクサを見ていたら四つ葉を発見しました。そのシロツメクサの葉っぱが、普通は丸い形をしていると思いますが、見つけたものは葉っぱが一枚一枚ハート型をしていました。
明らかにカタバミではなくシロツメクサです。
シロツメクサの葉っぱもハート型のものがあるのでしょうか。またそのような形はなぜできるのでしょうか。教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。

サーモン様

Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。写真をありがとうございました。ハート(倒心臓)型の葉・小葉を持つ植物は少なからずありますが、日本で最も知られている植物はカタバミかもしれません。それにクローバーと一見似ているので、よく間違えられます。
さて、お写真を拝見しましたが、結論をいうと、このような形はシロツメクサ(Trifolium repense)では珍しいことではありません。先端の凹みの程度によって際立ってハート型にみえるものもあります。Net上でもいくつか写真が見られます。写真はどれも四葉のクローバーなので、このような形は四葉に多くみられるのかもしれませんが、もっと調べてみないとわかりません。しかし、シロツクサの小葉の形は牧野植物図鑑によると「小葉は倒卵形あるいは倒心臓形、上部は凹むか又は円形」とありますし、米国サウス・カロナイナ州のClemson University College of Agriculture, Forestry and Life Sciencesが書いているクローバーの紹介記事には、やはり小葉はobovate(倒卵形)からobcordate(倒心臓形)となっています(obは逆、反対、ovateは卵型の、cordiは心臓のを意味するラテン語)ので、やはり倒心臓型の小葉は特に珍しいものではないでしょう。なお、他のクロバーの仲間についていうと、Trifolium subterraneum(ジモグリツメクサ)、Trifolium incarnatum(ベニバナツメクサ)、Trifolium variegatum var. arunuweapensisにも倒心臓型の小葉が見られるようです。米国で古典となっているASA GRAYの"How Plants Grow"(1858)を見ると、葉の形状の分類図(下図)があって、先端が凹んだ葉はその程度によって区別されています。その中で、写真の小葉は先端が少し切れ込んだ葉先Retuse(微凹頭)あるいはNotched(凹頭)型に該当するようです。どちらかというとRetuase typeではないでしょうか。
葉の先端の凹みは”emarginate tip”(凹形の葉先)と一般に呼んでいますが、色々ある態学的な特徴の一つで、その形成は葉身の発達の過程で起きます。葉身の両側の成長が葉先の中心の部分の成長より早いと、中心の部分は平らか少し凹んだようになります。このような偏差成長にはオーキシンのような植物ホルモンが関与していると言われています。シロツメクサの小葉の場合も同様のメカニズムが働いていると考えられます。

勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2026-01-17