質問者:
その他
将太
登録番号0630
登録日:2006-05-06
植物の持つ酵素を使って、環境修復をする技術に興味を持っています。みんなのひろば
植物の酵素を見つける方法
授業では、酵素を見つける方法として遺伝子のデータベースを使う・遺伝子発現を見る・タンパク質を調べるなどの方法があると教わりました。
もっと知りたいと思い調べたのですが、詳しい方法や流れがよく分かりません。
参考になる本やHPがありましたら教えて下さい。宜しくお願いします。
将太 さま
植物酵素を利用して環境修復のための技術開発ができる酵素をどうして見つけるか、についてのご質問ですが、このためには植物の成分代謝を解析する方法を、環境汚染物質に適用するのが一般的です。まず、汚染した環境から除去したい成分(酵素の基質、Substrate (S))が何であるか、それをヒト、環境にとって有害でないどのような化合物(反応産物、Product (P))に変化させたいのか、を環境修復の目的から決めることが必要です。
(1)S→P が実際に植物で進行するかどうか?
地球上に25万種以上ある植物の内、どの種でS→Pが最も効率よく進行するかを、実験によって確かめることが必要になります。(3)のことを考えると、まず、環境修復を図りたい地域で生育できる植物種から選択するのが賢明でしょう。この選択のためには、Sを植物に吸収させ、どれだけPに変化(代謝)するかを測定することが必要です。植物に吸収されたSと代謝したPを植物から分離して化学的に正確に測定すること、SとPとの間の中間体も測定することも必要になってくるでしょう。これらの測定が容易にできるように同位体で標識したSを用いることも必要になります。この時、このS→Pの代謝が植物のどの器官(根、葉、茎など)で、またどの生育段階でよく進行するか、なども重要な選択基準です。
(2)S→Pの反応経路と関与する酵素
選んだ植物の器官でS→Pが進行していれば、そこには必ずその(代謝)反応を進行させる酵素があるはずです。もしこの(代謝)変化が何段階かに亘っている場合、それぞれの段階に相当する酵素があることになります。ここでは、反応に関与する酵素が既に研究されている酵素か、全く新しい酵素であるかなどを、植物生化学の知識、酵素、遺伝子のデーターベースをフルに活用して調べる段階になります。全く新しい酵素の場合その酵素の活性測定法の開発を含め、遺伝子のデーターベースを利用できる様になる迄、多くの基礎研究が必要です。
(3)環境修復への植物の利用
自然環境の修復に、(精製、単離した)植物酵素を利用するのは不可能ではないとしても非常に困難なため、(1)で探し求めた植物を生育させて土壌の環境修復を図るといった方法が最も現実的でしょう。このためにSを分解する酵素活性の高い植物の育種、Sを分解できる他の生物(微生物など)由来の酵素遺伝子を導入した植物の育種の研究なども行われています。
石井、坂(編)“環境保全型農業事典”丸善(東京)(2005)に植物による環境修復も記載されています。
植物酵素を利用して環境修復のための技術開発ができる酵素をどうして見つけるか、についてのご質問ですが、このためには植物の成分代謝を解析する方法を、環境汚染物質に適用するのが一般的です。まず、汚染した環境から除去したい成分(酵素の基質、Substrate (S))が何であるか、それをヒト、環境にとって有害でないどのような化合物(反応産物、Product (P))に変化させたいのか、を環境修復の目的から決めることが必要です。
(1)S→P が実際に植物で進行するかどうか?
地球上に25万種以上ある植物の内、どの種でS→Pが最も効率よく進行するかを、実験によって確かめることが必要になります。(3)のことを考えると、まず、環境修復を図りたい地域で生育できる植物種から選択するのが賢明でしょう。この選択のためには、Sを植物に吸収させ、どれだけPに変化(代謝)するかを測定することが必要です。植物に吸収されたSと代謝したPを植物から分離して化学的に正確に測定すること、SとPとの間の中間体も測定することも必要になってくるでしょう。これらの測定が容易にできるように同位体で標識したSを用いることも必要になります。この時、このS→Pの代謝が植物のどの器官(根、葉、茎など)で、またどの生育段階でよく進行するか、なども重要な選択基準です。
(2)S→Pの反応経路と関与する酵素
選んだ植物の器官でS→Pが進行していれば、そこには必ずその(代謝)反応を進行させる酵素があるはずです。もしこの(代謝)変化が何段階かに亘っている場合、それぞれの段階に相当する酵素があることになります。ここでは、反応に関与する酵素が既に研究されている酵素か、全く新しい酵素であるかなどを、植物生化学の知識、酵素、遺伝子のデーターベースをフルに活用して調べる段階になります。全く新しい酵素の場合その酵素の活性測定法の開発を含め、遺伝子のデーターベースを利用できる様になる迄、多くの基礎研究が必要です。
(3)環境修復への植物の利用
自然環境の修復に、(精製、単離した)植物酵素を利用するのは不可能ではないとしても非常に困難なため、(1)で探し求めた植物を生育させて土壌の環境修復を図るといった方法が最も現実的でしょう。このためにSを分解する酵素活性の高い植物の育種、Sを分解できる他の生物(微生物など)由来の酵素遺伝子を導入した植物の育種の研究なども行われています。
石井、坂(編)“環境保全型農業事典”丸善(東京)(2005)に植物による環境修復も記載されています。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-05-18
浅田 浩二
回答日:2006-05-18