一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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シクラメン

質問者:   一般   よぴこ
登録番号6304   登録日:2026-02-09
こんにちは
お世話になります
頂いてからもう5、6年になるシクラメンですがこの度初めての出来事があり気になって調べたのですが分からなくてご相談させて頂きました
お写真お送り出来たら早いのですが拙い説明させて頂きます
株から生えた葉の途中に株ができ蕾が着いています 土の上ではありません すみませんがよろしくお願いいたします

よぴこ様

 Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
 大変長らくお待たせしました。ご質問については、神奈川大学理学部教授で植物形態学・同生理学がご専門の岩元明敏先生にお願いし、以下のような回答をいただきました。

【岩元先生からの回答】
 お送り頂いたシクラメンの写真を見て、何かに似ていると思って考えました。その結果、ホテイアオイに似ていることに気がつきました。ホテイアオイは親株から枝が伸び、子株が展開します。お送り頂いたシクラメンも鉢の中央にある親株から枝が伸びて手前のところで子株が展開しています。正確なことは実物を観察しないと分かりませんが、いただいた写真だけから判断する限り、おそらく同じ現象なのではないかと考えられます。
 ホテイアオイについてですが、このように親株から枝が伸びて子株が展開したものは一般的に「ストロン」とよばれているようです。ストロンとは英語のstolonのことで、日本語に直すと送出枝(または匍匐枝)と訳されます。送出枝とは何かということなのですが、それを説明するためには「腋芽」というものを説明する必要があります。通常、植物の葉の根元には腋芽とよばれる芽が形成されます。この芽は木本植物(落葉樹)であれば冬になると冬芽になり、翌年の春以降に新たな枝として展開します。草本植物であれば、多くの場合、つくられた年のうちに展開して、その先に花をつけたり、新しい葉をつけたりします。送出枝の正体は、この葉の根元に形成される腋芽からまず枝が伸び、伸びた先で芽が展開して花や葉がつくられたものです。この送出枝は、ホテイアオイを始め、イチゴやクローバーなど様々な植物で見られる一般的なものです。(送出枝の詳細については、本コーナーの検索欄で登録番号2874で検索してください。他にも関連する質問/回答が見られます。)
 シクラメンの葉はもともと胚軸(*)である球茎の上部(ここが実質的な茎にあたります)に(おそらくらせん状に)形成されています。そして、その葉(葉柄)の基部から小さな花芽が多数つくられます(これらは腋芽が展開したものと考えられます)。このように基本的にはシクラメンでも腋芽からの器官形成が行われているものと思います。今回ご相談いただいたシクラメンでは、普通は花芽となる腋芽から、なぜかホテイアオイのように走出枝がつくられたのではないか、と考えています。(* 同上検索欄で「胚軸」及び登録番号4621で検索してください。)
 今回のシクラメンでは、おそらく何らかの原因で(突然変異かもしれませんし、何かしらの病原菌に感染したかもしれません)腋芽から枝が伸長して走出枝になってしまったのだと思います。調べた限りではシクラメンでこのような走出枝ができるという例は見つかりませんでしたので、珍しい現象と言えるでしょう。なお、実際の植物をきちんと観察していませんので、例えば、花芽の先端が再度分化して枝が伸び、新たな花と葉をつくったなど、別の理由が全く考えられないというわけではないことをご了承ください。
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 もし親株が遺伝的に変異したものであれば、次世代の植物体にも同じ現象がみられるかも知れませんので、観察してみてください。

岩元 明敏(神奈川大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2026-04-12