一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

ジャガイモのイモは、でんぷんを合成しているのでしょうか?

質問者:   その他   高橋 智裕
登録番号0633   登録日:2006-05-07
授業で、葉で作られたでんぷんがイモに蓄えられることを教えます。
その時、葉で作られたでんぷんは、水に溶けやすくするために糖類に分解されて運ばれるとあります。

それでは、師管を通ってイモにたどりついた糖類は、イモの中に入ってでんぷんに再合成されるのでしょうか?
それとも、イモに入る一歩手前ででんぷんに再合成され、イモの中に入っているのでしょうか?

なぜ、このような質問をするかというと、「イモはでんぷんを作ることはできないので、どこかで作らなければいけない。」→「葉で作っている」と教えたいのですが、流れ込んできた糖が、イモの中ででんぷんに変わっていたとすると、表記上は「イモは、でんぷんを作ることができる。」となり、教え方が大きく変わってしまうと考えたからです。
高橋 智裕 先生

質問をお寄せ下さり有り難うございました(登録番号0633)。

(回答)
ジャガイモの場合、デンプンを合成する場所が2箇所あります。葉と地下茎(イモ)です。葉の細胞の中(葉緑体)では光合成が進行し、光のエネルギーを用いて炭水化物の合成が行われます。時として、これがデンプンとなります(デンプン葉)。一般的に言って、葉のデンプンは炭水化物の一時的な貯蔵形態です。夜などには、葉のデンプンは低分子の(簡単な)糖類に分解され、糖類は篩管を通ってイモの部分に輸送されます。イモの部分では、ATPなどの化学的なエネルギーを用いてデンプンの再合成が行われます。長期的な貯蔵のためのデンプンの合成となる訳です。なお、化学構造の上でデンプンは一種類ではありません(総称です)。
もし、更に詳しい情報が必要でしたら、今一度質問をお寄せ下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2006-05-08
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内