一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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光合成のでんぷん検出実験について

質問者:   その他   成田 恵
登録番号0643   登録日:2006-05-08
6年生理科の授業です。実は,研究大会で授業をする事になり,今,6年生のA区分といわれる「生き物同士の関わり」について勉強しています。

授業では,植物の光合成により植物の栄養源である”でんぷん”を,植物自身が作り出している事,運ばれるときにはショ糖になっている事,そして作り出すためには,日光が必要である事,緑色の部分で行われている事,などを本時の中で押さえたいと思っています。

その実験では,ただ単に葉っぱだけを調べるのではなく,茎の輪切り,根,実,花など,植物の部分部分を細かく細分化して調べ,でんぷんができるには”緑色と日光”が必要であり,”運ばれるときにはショ糖”になっている,”でんぷんとなって蓄えられている”,”人間と同じ働き”をしている事に着目させたいのです。
そこで,”スイカの皮””斑入りの葉””赤ピーマン”など,いろいろな植物で調べさせたいと思っているのです。
その検出方法は,小学校ではエタノールで葉緑素を落とし,ヨウ素液で検出させています。

①この方法で,いろいろな植物のでんぷんは検出できるものなのでしょうか?
②でんぷんを検出しやすい植物と走で内職ぶるがあると聞きました。実験に適 した植物は,ジャガイモの他に何があるのでしょうか?
③この実験方法の他に,でんぷんを検出する実験方法はあるのでしょうか?

大会が迫っており急いでいます。お忙しいとは思いますが,早めにお返事をお願いいたします。
成田 恵 先生

日本植物生理学会・みんなのひろば・質問コーナーに下記の質問をお寄せ下さりありがとうございました。研究授業に向けて張り切っておられるご様子ですね。満足して頂けるものにはならないかも知れませんが、私の回答は次のとおりです。

[回答]
①エタノールで葉緑素等を除去した後、ヨウ素で染色してデンプンを検出する方法はよく用いられており、上手く行くと思います。ただ、②で書きますように、植物の種類によって大きな差が出ると思います。
植物の部分についての実験では、茎の輪切りや根を調べることにより、光合成産物がショ糖の形で茎を通って運ばれていることを示そうとされていますが、草本などでは茎を構成する部分も光合成を行っており、他方、この実験ではショ糖の存在とその輸送を示すことが出来ないので、曖昧な結果になることを心配します。また、ジャガイモなどでは、葉に蓄積したデンプンがショ糖などに分解されて地下部(塊茎)に輸送され、再びデンプンとして蓄積しますが、地下部にデンプンを蓄積する植物も限られていることに注意して下さい。
私は、むしろ、葉におけるデンプンの合成に光が必要であることを示すことに絞って、同じ葉でも光が当たるか当たらないかでデンプンの量に差が生ずることを、黒い紙や写真のネガで葉に当たる光を部分的にさえぎる実験などによって示すのが良いのではないかと思います。
いずれにしても、用いる植物材料について予め確認実験をしておくことが必要と思いますので、その際、いろんなことにチャレンジしてみて下さい。
②光合成産物として、葉にデンプンを蓄積しやすい植物(デンプン葉の植物)とデンプンを蓄積せず、簡単な糖類を蓄積する植物(糖葉の植物)が区別されます。前者には、ジャガイモ、アサガオ、タバコ、ヒマワリなどがあります。ササなどの単子葉植物は後者に属する場合が多いと聞いております。
③デンプンの分析のための方法は他にもありますが、私の知識では、切片の上で検出するヨード法は大変優れたものだと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2006-05-10
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