一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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デンプン粒の形

質問者:   その他   阪本尚生
登録番号0647   登録日:2006-05-09
先日、レンコンのデンプンを顕微鏡で見ていて思ったことなんですが、デンプン粒は植物の種類によりその形、大きさが違うのは何故なんでしょう?
インターネットで検索しましたら、オルガネラとりわけアミロプラスト、白色体などとデンプン粒は関係があるようですが、そこでどのように形成されているかご説明くださいませんか。
阪本尚生 様

日本植物生理学会の質問コーナーに関心をもって下さりありがとうございます。ご質問には、デンプン合成の仕組みを研究されている新潟大学農学部応用生物化学科の三ツ井敏明先生に回答をお願いしました。ご参考にして下さい。


 植物におけるデンプン合成は細胞内のオルガネラの1つであるプラスチド(葉緑体、アミロプラスト、白色体などの総称)で行われます。なかでも、デンプンの合成と蓄積・貯蔵を専門に行っているのがアミロプラストです。葉緑体でもデンプン合成、蓄積が起こりますが、それは一過的で後に分解されます。コメやジャガイモのデンプン粒はそれぞれの貯蔵組織細胞のアミロプラストで形成されます。
 植物の種類でデンプン粒の形や大きさが異なることは、古くからデンプン研究者の関心事でありました。デンプン粒の構造は複雑で、物理的には結晶部分、非結晶部分を含み、化学的にもグルコースポリマーであるアミロース、アミロペクチンと微量ではありますが脂質も含む不均一な物質です。また、デンプンが合成される際の日周期がデンプン粒に成長リングとして観察されます。さて、デンプンの形と大きさが植物種によって違うはなぜか。考えられる理由としては、デンプン合成が行われる場所の大きさの違い、デンプンが合成される期間の違い、デンプンが合成、蓄積される環境(日周期、温度や水分)の違い、デンプンの構成成分のバランスや分布の違いなどが挙げられます。

三ツ井 敏明(新潟大学農学部応用生物化学科)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2006-05-12
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