蒼澤君

　みんなの広場へのご質問ありがとうございました。担当の柴岡です。まず、「染色した細胞と染色していない細胞の長所と短所を教えて下さい。」という質問ですが、細胞を観察するに当たって、染色した場合としない場合でどの点が有利で、どの点が不利かという意味にとって回答します。これは両方を試して見るとすぐ分かります。植物細胞を観察するのに、最も入手し易く便利な材料にタマネギの内側の薄い皮（表皮）がありますが、これを染色しないで、顕微鏡で観察すると、細胞の構造の細かいところはよく見えませんが、細胞の中身（原形質）が動いていることが分かるでしょう。次に、中学校などでよく使われているアセト・カーミンやアセト・オルセインで染色してから観察します。細胞を取り囲んでいる細胞壁とか細胞の中の核などがはっきりと見えるようになりますが、原形質はもう動いていません。アセト・カーミンやアセト・オルセインによって染色したことによって細胞は死んでしまったからです。染色した場合の長所は細胞の構造がはっきり観察できることで、短所は細胞を殺してしまうので、生きているからこそ見られる現象が見られなくなることです。また、染色しない場合の長所は細胞が生きているからこその現象がみられることで、短所は細胞の構造の細部が分からないことです。次ぎに、「植物細胞と動物細胞の共通点、相違点も知りたいです。」というところですが。どちらかというと共通点のほうが相違点より多いのです。基本的にはほぼ同じと思っても良いくらいです。代表的な共通点としては、細胞の外側が細胞膜という膜で覆われており、細胞の内側と外側がはっきりと仕切られていること、遺伝情報を仕舞い込み、その情報に基づき細胞を作ったり、細胞が働いたりすることの指令を出している核を持っていること、細胞が生きて行くため、また働くために必要なエネルギーを生産するミトコンドリアを持っていること、細胞は核の中の遺伝情報をもとに蛋白質を作りますが、蛋白質をつくる仕組みが同じであること、などを挙げることができます。相違点ですが、植物細胞は光合成をするための葉緑体を持っていますが、動物細胞は持っていないこと、植物細胞は細胞壁と呼ばれる厚い壁で覆われていますが、動物細胞はそのような厚い壁で覆われていないこと、植物細胞には中身が殆ど水の液胞というものが発達していますが、動物細胞では発達していないことなどでしょう。みんなの広場には繪が載せられないので、違いを示すのが困難ですが、植物細胞と動物細胞の違いは、どんな参考書にも図示されていると思いますので、そんなものを参考にして下さい。