一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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茶について

質問者:   その他   立原
登録番号0070   登録日:2004-05-20
連続で失礼します。茶は中国茶、紅茶をはじめ多くの製法がありますが、日本茶以外は全て(酸化)発酵させます。
この反応(=酸化発酵)は、植物的には 枯れ葉に至る死のプロセスと考えて良いのでしょうか?
更に言えば、仮にそうだとすると、茶はいわゆるツバキ科の茶葉以外のあらゆる植物で作れるということになりませんか?
酒とは違うこの発酵、人にはどのような意味があるのでしょう・・。

複数の質問で申し訳ありません・・。
立原さま

 回答が遅れてすみませんでした。植物の代謝生理を専門とされている芦原坦先生(お茶の水女子大学)にお答えをいただけました。

茶は、緑茶(不発酵茶)、烏龍茶(半発酵茶)、紅茶(発酵茶)に分類されます。中国茶でも龍井茶などは緑茶です。茶の発酵とは、いわゆるアルコール発酵や乳酸発酵などとはまったく異なります。チャ葉の成分が葉の中にあった酸化酵素や加水分解酵素などにさらされることによって変化して、烏龍茶や紅茶に特有な香りや味に変わります。これは、生きている植物に見られる反応ではありませんから、人工的に死にいたらせるプロセスに付随しておこるものだととらえることも可能でしょう。茶の発酵という言葉は歴史的に使われているのでしょうが、生物の教科書に出てくる発酵とは関係なく、酵素反応という意味です。誤解しないようにしてください。

異なる化学物質成分からなる別の植物の葉では、発酵が起こっても、よい味や香り成分ができるとは限りません。チャ葉には、テアニンのように、それ自身が良い味(うま味)を持ったり、発酵中に良い味や香りに変化する成分が含まれているので、飲料になるわけです。さらにこの他に興奮作用をするカフェインが含まれています。カフェインは、コーヒーにも含まれていることはご存知だと思います。ですから、チャ葉に含まれる特有な成分が飲料としての茶に必要なわけです。

「茶」とういう言葉は本来チャという植物を指しますから、「茶」があらゆる植物で作られるというのは意味をなしません。しかし、一般には、植物を乾燥させて飲料としたものを茶という場合もあります。ベニバナ茶などというのはこれにあたると思います。

もっと詳しいことを知りたかったら、伊奈和夫他編の「茶の化学成分と機能」(弘学出版)を参照されることをお勧めします。

 芦原 坦(お茶の水女子大学)
広報委員長、神戸大
三村 徹郎
回答日:2007-07-27
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