質問者:
その他
雫
登録番号0747
登録日:2006-06-06
仕事の探し物をしていたら、たまたまここに行き当たりました。花の色と芳香の関係
こんな素敵なサイトがあったんですね。
実は前から疑問に思っていたことがあったので、早速質問させていただきます。
すでに既出でしたらすみません。
日常生活からの素朴な疑問なのですが…。
例えばフリージアやジュリアン(でしたっけ?)などの花では、黄色のものはよい香りを放ち、他の色の花はほとんど香りがしないといったことがあるかと思います。
他にもなんとなく、黄色い花はよい香りがするものが多い気がするのですが、これは何か関係があるのでしょうか?
それともたまたまなのでしょうか?
雫様
花の色と芳香との関係についてのご質問に回答いたします。回答は京都大学理学研究科の東 浩司先生にお願いしました。詳しく説明していただいたので、納得いただけると思います。
回答:
花の色と匂い(芳香)の関係についてですが、
まず、フリージアについては、確かに、黄色や白の花は他の色のものに比べて強く匂います.一般的に、色や形に着目して品種改良を行うと、匂いはなくなる傾向があります.また、フリージアの原種は白から黄色の花をつけ、匂いのあるものとないものがあります.ですから、今売られているフリージアの黄色の花が強く匂うのは、原種に近い(改良があまり行われていない)から、または原種に見られる特性(黄色・匂いあり)をより強く発現するように改良されたからで、他の色の花があまり匂わないのは長年の品種改良の結果、匂いが失われてしまったからではないかと考えられます.
次に、黄色の花はよい香りがするものが多いかという質問ですが、この質問には二つの意図が含まれているかもしれません.つまり、(1)黄色の花は匂いがするものが多いのか?(2)黄色の花は<よい>香りをするものが多いのか?質問者の意図は (1)だけだと思うのですが、(2)に関しても少しコメントします.
まず、(1)の質問ですが、一概にそうとは言えないと思います.たとえば、バラでは香りが強い品種は白〜ピンク〜赤色の花をつけるものが多いと思います.黄色〜オレンジ系のバラは微香タイプが多いような気がします.また、スミレは匂いがしないものが多いのですが、強い匂いを放つニオイスミレは青紫(〜赤紫)系の花色です.黄色の花を持つキスミレ類は匂いがしません.弱いながらも匂いを放つシハイスミレ、エイザンスミレも淡いピンクから赤紫色です.ですから、フリージアで黄色の花がよく匂うのは「たまたま」ではないかと思います...次に(2)に関してですが、黄色の花にしろ、他の色(白、赤や青)の花にしろ、多くの花の匂いは<よい> 香りです.逆に<悪い>香り("匂い"のほうが適当ですね=悪臭)の花はあまり多くはありませんが、身近なところでいうとザゼンソウ、ヤマコンニャクやクロユリがあります.また、シキミの仲間でアメリカにだけ自生するIllicium floridanumの花は" 魚のような匂い"がすると表現されています.これらの花の色は濃赤茶色〜黒色で、このような色の花はほかにあまりありませんので、悪臭と濃赤〜黒系色とは関係があるのではないかと想像してしまいます.また、ペチュニアでは青紫色の花がよく匂い、ある特定の匂い物質を特に放つことが最近明らかにされ、色と匂い物質との関係が示唆されています.しかし、この匂い物質はペチュニア以外でも花の匂い物質として知 られており、それらの花は必ずしも青系色ではありません.
ついでにいうと、花の色と匂いの質(成分)もあまり関係がないと思われます.たとえば、同じモクレン科のホオノキとタイサンボクではどちらもクリーム色の似たような花を咲かせますが、匂いの質はまったく異なります.ホオノキは甘い感じの匂いでベンゼノイドが主成分です.一方、タイサンボクは柑橘系の匂いでテルペノイドが主成分です.同じことは早春に山野を白く飾るコブシとタムシバについても言えます.コブシはややクリームがかった色で、タムシバはより白に近い花を咲かせます.両者は非常に近縁ですが、コブシはテルペノイドを、タムシバはベンゼノイドを主成分とした匂いを放ちます.一方で、ハクモクレン(白)、シモクレン(紫)、キモクレン(黄〜緑色)は花の色はまったく異なりますが、匂いの成分はほとんど同じです.
花の匂いに関しては、花の色や形に比べるとあまり研究が進んでおらず、まだまだ分からないことが多いのが現状です.今後の研究によっては花の色と匂いの間になんら かの関係が見出されるかもしれません.
花の色と芳香との関係についてのご質問に回答いたします。回答は京都大学理学研究科の東 浩司先生にお願いしました。詳しく説明していただいたので、納得いただけると思います。
回答:
花の色と匂い(芳香)の関係についてですが、
まず、フリージアについては、確かに、黄色や白の花は他の色のものに比べて強く匂います.一般的に、色や形に着目して品種改良を行うと、匂いはなくなる傾向があります.また、フリージアの原種は白から黄色の花をつけ、匂いのあるものとないものがあります.ですから、今売られているフリージアの黄色の花が強く匂うのは、原種に近い(改良があまり行われていない)から、または原種に見られる特性(黄色・匂いあり)をより強く発現するように改良されたからで、他の色の花があまり匂わないのは長年の品種改良の結果、匂いが失われてしまったからではないかと考えられます.
次に、黄色の花はよい香りがするものが多いかという質問ですが、この質問には二つの意図が含まれているかもしれません.つまり、(1)黄色の花は匂いがするものが多いのか?(2)黄色の花は<よい>香りをするものが多いのか?質問者の意図は (1)だけだと思うのですが、(2)に関しても少しコメントします.
まず、(1)の質問ですが、一概にそうとは言えないと思います.たとえば、バラでは香りが強い品種は白〜ピンク〜赤色の花をつけるものが多いと思います.黄色〜オレンジ系のバラは微香タイプが多いような気がします.また、スミレは匂いがしないものが多いのですが、強い匂いを放つニオイスミレは青紫(〜赤紫)系の花色です.黄色の花を持つキスミレ類は匂いがしません.弱いながらも匂いを放つシハイスミレ、エイザンスミレも淡いピンクから赤紫色です.ですから、フリージアで黄色の花がよく匂うのは「たまたま」ではないかと思います...次に(2)に関してですが、黄色の花にしろ、他の色(白、赤や青)の花にしろ、多くの花の匂いは<よい> 香りです.逆に<悪い>香り("匂い"のほうが適当ですね=悪臭)の花はあまり多くはありませんが、身近なところでいうとザゼンソウ、ヤマコンニャクやクロユリがあります.また、シキミの仲間でアメリカにだけ自生するIllicium floridanumの花は" 魚のような匂い"がすると表現されています.これらの花の色は濃赤茶色〜黒色で、このような色の花はほかにあまりありませんので、悪臭と濃赤〜黒系色とは関係があるのではないかと想像してしまいます.また、ペチュニアでは青紫色の花がよく匂い、ある特定の匂い物質を特に放つことが最近明らかにされ、色と匂い物質との関係が示唆されています.しかし、この匂い物質はペチュニア以外でも花の匂い物質として知 られており、それらの花は必ずしも青系色ではありません.
ついでにいうと、花の色と匂いの質(成分)もあまり関係がないと思われます.たとえば、同じモクレン科のホオノキとタイサンボクではどちらもクリーム色の似たような花を咲かせますが、匂いの質はまったく異なります.ホオノキは甘い感じの匂いでベンゼノイドが主成分です.一方、タイサンボクは柑橘系の匂いでテルペノイドが主成分です.同じことは早春に山野を白く飾るコブシとタムシバについても言えます.コブシはややクリームがかった色で、タムシバはより白に近い花を咲かせます.両者は非常に近縁ですが、コブシはテルペノイドを、タムシバはベンゼノイドを主成分とした匂いを放ちます.一方で、ハクモクレン(白)、シモクレン(紫)、キモクレン(黄〜緑色)は花の色はまったく異なりますが、匂いの成分はほとんど同じです.
花の匂いに関しては、花の色や形に比べるとあまり研究が進んでおらず、まだまだ分からないことが多いのが現状です.今後の研究によっては花の色と匂いの間になんら かの関係が見出されるかもしれません.
京都大学理学研究科
東 浩司
回答日:2006-06-19
東 浩司
回答日:2006-06-19