一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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固い葉のヨウ素でんぷん反応の方法

質問者:   その他   石田 
登録番号0075   登録日:2004-05-30
はじめまして。小学校教諭をしております、石田です。

理科の授業で「日光をあてると、ジャガイモの葉はでんぷんをつくる」ということをヨウ素でんぷん反応を使って実験をしました。
すると子供から「他の植物はどうか」という疑問が出てきましたので、晴れた日に校内にある植物を採ってきてヨウ素でんぷん反応を行う実験をしました。

教科書に出てくる「お湯で煮る方法」「アルコールで脱色する方法」「お湯で煮てろ紙にはさみ、木づちでたたく方法」で試してみましたら、固い葉(主に笹などの単子葉のもの)については、うまく反応が出ませんでした。

固い葉でもでんぷんが作られていることを子どもたちに伝えたいのですが、何かよい方法はありませんか?
ヨウ素でんぷん反応を使いたいのですが、別のわかりやすい方法があれば、それでもかまいません。よろしくお願いします。
石田さま

 全ての葉における主な光合成産物がデンプンであるとは限りません。デンプンを多く蓄積するものを「デンプン葉」,ショ糖を多く蓄積するものを「糖葉」とよびます。デンプン葉には,ヒマワリ,アサガオ,タバコ,ジャガイモなどがあげられます。一方,単子葉植物には糖葉が多く,ササ類もそれに含まれます。おそらく先生の試された方法は完全で,もしそれがデンプン葉ならば堅い葉からもデンプンが検出されたはずだと思います。教科書の単純化を小学生にどう説明したものか,悩ましいところですが,彼らの大発見です。「どんな葉がそまらないのだろう」というデンプン葉と糖葉の分類にまで発展するかもしれません。

 顕微鏡でより詳細に調べると気孔の孔辺細胞の葉緑体はデンプンを蓄積します。このデンプンは,一日程度暗黒条件においても無くなりません。アサガオやジャガイモの葉をアルミ箔で覆って,デンプンがほとんど検出できない部分にも,顕微鏡で観察すれば,小さな括弧が,(),のように染まっているが検出できるはずです。
大阪大学
 寺島 一郎
回答日:2007-07-27