一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物の酸素濃度のことなんですが・・・

質問者:   その他   吉田 亜由
登録番号0079   登録日:2004-06-01
人間が一人一日当り500リットルの酸素を消費して、この消費量に見合うだけの酸素の生産(光合成)を植物が生産しているとします。
人間が一万人いる空間で、夜間(12時間)に酸素濃度が20%以下にならないようにするだめには、空気は何リットル必要なんですか?
吉田 亜由さん

 日本植物生理学会のホームページをお訪ねいただきどうも有り難う。
 さて、いただいたご質問にお答えするのに、お尋ねいただいたことだけに限るなら、一日に10000人の人間が必要とする酸素は、500リットルx10000人 = 5000000リットル
 夜間に消費される酸素量はその半分の2500000リットルですから、酸素濃度を20%とすると、必要な空気の量は、12500000リットルということで、植物のことを考えに入れる必要はなさそうです。
 消費量に見合うだけの酸素を、植物が昼間光合成で生産しているということを考慮するとしても、必要な空気の量に違いはありません。
 
 ところで、植物が実際に生産している酸素の量は、光合成の能力に比例します。登録番号49に光合成の専門家の徳富先生がお答えくださっているように、光合成の能力は植物によって様々です。特に農作物などは、光合成能力をあげるように人間が改良を重ねてきているものですから酸素生産能力も高いと考えられます。一方、植物自身も酸素を消費してエネルギーを得る生物の一種ですから、自分で作った酸素のかなりの部分を植物自身が消費してしまいます。植物の呼吸量と光合成量を比較した時に、光合成量が呼吸量に比べて十分に高くない植物では、酸素の供給能はそれほど高いとは言えません。よく森は酸素の供給源という言い方をしますが、森林の木々は農作物に比べて光合成能が高いわけではありませんから、酸素の供給能力もあまり高くありません。そのため、広い範囲の森を残すことが大事ということになるとも言えます。
神戸大
 三村 徹郎
回答日:2012-08-25