一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アルストロメリアの雄しべ先熟について

質問者:   中学生   マリオ
登録番号0791   登録日:2006-06-17
アルストロメリアは雄しべが雌しべよりも先に成熟し、自家受粉を防ぐのはなぜですか。
教えてください。よろしくお願いします。
マリオさん

前回の関連した質問に回答なさった柴岡弘郎先生がご不在なので、代わって私が回答いたします。

回答:柴岡先生からの回答にもあったように、植物には色々な手段で自家受精を防ぐ仕組みができているものが多くあります。アリストロメリアの花の場合もその仕組みの一つですね。だから、質問は、なぜ植物には自家受粉を防ぐ仕組みがあるのかという一般的な問いと考えることにしましょう。
自家受粉をさける理由は実験によって証明された訳ではありませんが、植物にとっては他の個体と交雑をすることによって、より多くの種類の遺伝子の組み合わせが可能となるからであると一般に考えられています。自家受粉だけで繁殖している植物は、例えば気温が著しく低くなるなるなど環境が変わると、それに対応出来る遺伝子をもっていない場合は、そこに生育している植物全部が死滅するかもしれません。しかし、交雑によって低温に絶えられる遺伝子を獲得している個体は有利になります。また、たまたま、生存に不利な遺伝子の異常があった場合、自家受粉で増殖すると、それが発現する可能性は高くなります。動物の場合でも近親交配が避けられるのも同じ理由です。自家受粉を防ぐ仕組みは、植物にとってより多様性に富んだ遺伝子の組み合わせを確保するという手段と考えられます。この手段は植物の進化の流れの中で、大切な役割をはたしているともいわれています。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2006-06-19
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