一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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質問内容が多いですがよろしくお願いします・・・

質問者:   その他   横川
登録番号0816   登録日:2006-06-26
・なぜ葉身にはたくさんの葉脈があるのですか?

・なぜ葉の表面は葉の裏に比べてツルツルしているのですか?

・なぜサボテンの体にはトゲがあるのですか?

・なぜ秋になると落葉する葉としないものがあるのですか?
横川 さん:

登録番号0816の回答をお送りします。

・なぜ葉身にはたくさんの葉脈があるのですか?

葉脈は維管束という植物の通導組織です。維管束はふつう導管と篩管からできています。導管は根で吸収された水や栄養分を、篩管は光合成産物やその代謝物を運ぶ役割を担っています。哺乳動物の血管のような働きをするものです。葉はたくさんの細胞が広い面積にありますのですべての細胞に栄養分を運んだりするためにはたくさんの葉脈が必要となります。通導組織は葉ばかりでなく茎、根にもありますが葉にあるのは目で見えるので葉脈と呼んでいるものです。

・なぜ葉の表面は葉の裏に比べてツルツルしているのですか?

動物と同じように植物にも「背腹性」といって背と腹の区別があります。植物の場合は葉にその性質が顕著ですが、これは葉が形成されるときに決まります。葉は茎の先端にある半球状の茎頂分裂組織の横に形成されはじめます。半球の横(山の中腹に相当します)に瘤のような塊が出来はじめます。このとき、瘤が茎の軸に向った側(向軸側、腹側、ふつう表側という)とその反対側(背軸側、、背側、ふつう裏側という)はその後の形つくりの過程で違った構造を作るようになるため、見た目にも違ったものとなり表裏の区別が明らかになります。向軸側でも背軸側でも表面は表皮細胞が隙間なく密に並びますが、その表面は、向軸側ではふつうクチクラ層があつく蝋成分などが分泌、蓄積するためツルツルしますが、背軸側ではクチクラ層も薄く、蝋の分泌も少ない上、細い毛が生えたりして鈍い色になります。海岸に生育する樹木には向軸側表面のクチクラ層が特に厚く漆を塗ったようにツルツルと光るものが多くあります。

・なぜサボテンの体にはトゲがあるのですか?

これは大変お答えするのに難しい質問です。一般には食害動物に対する防御装置と考えられています。
サボテンは茎が多肉化して葉緑体を持っていて光合成の場は茎と言う特徴を持っています。球状、柱状や扁平と多様な形がありますが、茎は節で繋がっているので茎節と呼ばれています。刺は茎節にでき、芒刺といって剛毛が変形したもので刺座と呼ばれる構造から1本あるいは数本がでます。細く鋭いもの、頑丈で錐のようなものなどいろいろあります。サボテン以外の植物にも剛毛や刺がありますが、サボテンの刺は大変鋭く動物の食害を防ぐ働きは十分ありそうです。

・なぜ秋になると落葉する葉としないものがあるのですか?

一般に常緑樹と呼ばれている植物でも落葉はします。落葉樹といわれているものは秋になって気温が低下してくると一斉に葉を落とす性質を持つグループです。枝の先端や葉の付け根に冬芽つけて越冬します。常緑樹は葉の寿命が1年以上で、新しい葉ができると古い葉を順に落とすので1年中緑葉が付いた状態にあります。常緑樹の下にはいつでも落葉したその木の葉があることを観察してください。ユズリハというトウダイグサ科の常緑高木がありますが、新しい葉が出ると古い葉の落葉が特に目立っています。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-06-29