一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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徒長と肥料について

質問者:   その他   田村 健
登録番号0840   登録日:2006-06-30
普通は肥料をやりすぎると徒長すると思うのですが、ビンカのポットにIB化成(固形肥料)を追肥したところはこんもりと育ち、あげないところはひょろひょろと徒長しました。
肥料が足りなくて徒長することがあるのでしょうか。
同じ場所で育てているので、水は同程度かかっています。

宜しくお願いします。
田村 健 様

 植物は土壌から無機養分、少なくとも14種類の元素が適当な割合で吸収できなければ、生育、成長できません。肥料は、植物の生育に多量必要とし、土壌に不足しやすい成分である窒素、リン酸、カリウムを主成分としている場合が多く、ビンカ(ニチニチソウ)に施用された肥料にもこれらを含んでいたと思われます。
 ところで追肥されたポットはビンカがこんもりとよく育ち、肥料を施用しなかったポットは徒長して(恐らく)茎も太くならなかったとのことですから、これは明らかにポットに入れた土壌の無機養分が不足し、肥料によって適当な量の無機養分が供給されたことを示しています。植物に多量に含まれている蛋白質は、葉の光合成を初めとして、成長のために絶対に必要であり、蛋白質を合成するためには根から窒素を吸収できなければなりません。この様に無機養分として窒素は最も多量に必要な成分であり、肥料を与えられなかったポットのビンカは充分に光合成ができず、茎も細くひょろ長い外観をもつようになったと考えられます。
 肥料をやりすぎると“徒長”するとの考えは、恐らく、例えば窒素肥料を与えすぎると、栄養成長から生殖成長への切り替えがうまく進行しないことからきていると思われます。
例えば、ダイズを栽培するとき窒素肥料をやりすぎると何時までも栄養成長が続き、葉や茎が茂るだけで、花、実をなかなかつけず、生殖成長に移らないことを指しているように思います。ビンカの場合、追肥を与えたポットの花のつき具合はどうだったのでしょうか?
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-07-04