一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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光合成

質問者:   その他   豊住幸平
登録番号0850   登録日:2006-07-03
植物は二酸化炭素を取り入れて光合成をしているのですか?
豊住 幸平 様

 光合成についてはこれまで度々、いろんな角度からご質問がありJSPPのホームページの質問コーナーをご覧頂ければ、光合成の多くの面について質問―回答、解説をみることができます。
 今回のご質問は光合成の基本的なことです。光合成は太陽光エネルギーを利用して二酸化炭素から有機物を合成する過程であり、地球上の有機物はすべて光合成によって植物が合成したもので、現在の光合成は私たちに食糧を与え、また、人類に欠くことのできない石油、石炭は過去の光合成産物です。
 光合成の研究の歴史、いつ二酸化炭素が光合成に関与していることがわかったか、などが質問登録番号0731の回答に、佐藤先生が丁寧に解説されておられますので以下に、再録しておきます。


回答の前に、まず、「光合成」とは何かについて説明しておきましょう。
 一般的に、「光合成」とは、太陽の光エネルギーを使って無機物から有機物を合成する生物のはたらきのことを指します。この過程では、無機物としては二酸化炭素が使われ、有機物としてショ糖やデンプンなどが合成されます。植物の光合成では、反応に水が必要で、水が使われると酸素が発生します。植物の光合成は、次のような式で表すことができます。

        (光のエネルギー)
二酸化炭素 + 水   →   有機物 + 酸素

 この式は簡単ですが、反応そのものは大変複雑で、光合成の発見には多くの科学者が関係しました。その中で、植物が酸素を発生することを発見したプリーストリ(1772年)、日光が当たっている植物の緑色の部分でのみ酸素の発生があることを見出したインゲンフッス(1779年)、大気中の二酸化炭素が有機物の源であることを明らかにしたセネビエ(1783年)、光合成が光エネルギーの化学エネルギー(分かりやすく言えば、有機物に含まれるエネルギー)への変換であることを明確にしたマイヤー(1845年)などの貢献が大きいといえます。比較的短い期間(18世紀後半から19世紀前半)に重要な発見が相次いでなされて、光合成の概略が明らかにされて来たわけです。ちなみに、プリーストリのこの発見は、同時に、大気の成分の一つである酸素の発見でもありました(“酸素”と言う呼び名は、1779年、ラヴォアジェにより提唱されました)。

その後、光合成の仕組みに関する研究が大きく進み、数多くのノーベル賞受賞者がこの研究分野から輩出されました。しかし、まだ、その仕組みの解明が終わったわけではありません。

佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-07-04
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