質問者:
中学生
藤原あずさ
登録番号0873
登録日:2006-07-06
自由研究でエチレンの働きについて調べてみようと思っています。みんなのひろば
エチレンの測定について
リンゴから発生してバナナを黒くさせるのはエチレンだと本では読みましたが,実際にそれがエチレンであることを証明する方法は,家でできることであるのでしょうか。またその量をはかることもできるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
藤原あずさ さん:
日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。エチレンに関するご質問は標記の番号で受け付けました。以下に回答をお送りします。
自由研究でエチレンの働きを調べようと思ったのはどうしてでしょうか?
中学生でエチレンに関心と興味を持って頂けるのは、長年の間エチレンの研究をしてきた者にとってはたいへん嬉しいことです。本で読まれたようにエチレンはリンゴ果実からたくさん生成されていますし、バナナを含め多くの果実が熟する(成熟あるいは追熟などと言われています)ことを促進します。ところがご質問にある「リンゴから発生しバナナの追熟を促進する物質がエチレンであると証明する」ことは一般家庭では無理なことと思います。また、その量を測定することも特別の機器を使う必要があり、これも家庭では困難なことです。リンゴがエチレンを発生することは1934年に化学的に証明されましたが、その方法はリンゴが発生するガスを他の物質と反応させて誘導体とし、その誘導体はエチレンだけから作られることを示したものです。しかし、今ではガスクロマトグラフと言う機器を使います。この機器は、いろいろな物質が混ざっている気体を吸着クロマトグラフィーと言う原理で分離し、それらの量をも記録することが出来るものです。クロマトグラフィーで分離される順番は物質の性質で決まっていますので、エチレンがあればその場所に信号を出します。実際は、もう少しいろいろな操作をしてガスクロマトグラフで何度か調べて、信号を出しているものがエチレンだと判断します。ですから、証明も、量の測定もガスクロマトグラフと言う機器がないとたいへん困難なことです。これでお終い、にしてしまえばお愛想がなさすぎて落胆しますよね。
そこで、自由研究では「エチレンが植物にどんなことをするか」を調べたらどうかと思います。リンゴが発生する気体の中で他の植物に特殊な効果を示すものはエチレンだけだと言うことは証明されていますので、中学生の自由研究ではこのことを前提とすればリンゴの発生ガスはエチレンと同じと考え、いくつか実験プランを書いてみます。適当に選んで試してみたらと言うのが提案です。
気体を取り扱うためどうしても密閉できる容器が必要です。蓋の大きいガラス製の梅酒瓶か5リットルから10リットルくらいのプラスチック製密閉容器が便利で、同じものを2つ用意します(1つは処理用、もう1つは比較するための無処理用)
実験1:
モヤシマメ、ダイズ、インゲン、アズキなどどれでも良いですが種子を土か砂を入れたプリン容器に蒔き、ベランダか窓際におきます。2つ同じものを用意します。1週間かそれ以上かかりますが、緑色の双葉(子葉)が完全に開いたら使えます。密閉容器に1つづつ入れます。一方の密閉容器にはリンゴ半分ほどを1cm角くらいに切ったリンゴ片を入れ(処理区)、もう1つの密閉容器には何も入れないで(対照区)蓋をきちんと閉めます。後は室内においておくだけです。梅酒瓶だと外から観察できますので、時々観察しながら数日の変化を見てください。実験を終わった材料植物もすぐに捨てないで、そのまま数日放置してみませんか。どんなことが起きるでしょう。ただし、枯れないように水はやってください。
実験2:
今度はマメを水に濡らしたキッチンペーパーかペーパータオルの上に蒔き、暗いところ(押入の中とか引き出しの中)において「もやし」を作ります。実験1と同じように密閉容器内でリンゴ処理区、未処理対照区を作り、同じく押入など暗いところに起きます。1日たてば変化が現れます。いろんな部分を注意深く観察してください。実験後のもやしも捨てないで、根をかみそりで切って水にさして数日観察してみたら?
実験3:
ライムと言うレモンのような果実をご存じですか。今ではマーケットで売っています。緑色です。2つ買ってきて、1つをリンゴガス処理、他を対照区とします。2日くらい様子を見る。オオバとして売っているシソの葉もライムと一緒に入れてみたら?
実験4:
時期的に丁度よいときです。畑にいくとキュウリ、スイカ、カボチャ、ヘチマ、何でも構いませんウリの仲間の伸びている先を見てください。巻きひげが何にも巻きつかないで真っ直ぐに伸びているものが必ずあります。真っ直ぐな巻きひげを先端から10cmくらいところで切り取ります。先端には触らないように。すぐに密閉容器に入れて処理区、対照区を比較してください。数時間で変化がでるとはずですが、1晩はおいてみてください。
日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。エチレンに関するご質問は標記の番号で受け付けました。以下に回答をお送りします。
自由研究でエチレンの働きを調べようと思ったのはどうしてでしょうか?
中学生でエチレンに関心と興味を持って頂けるのは、長年の間エチレンの研究をしてきた者にとってはたいへん嬉しいことです。本で読まれたようにエチレンはリンゴ果実からたくさん生成されていますし、バナナを含め多くの果実が熟する(成熟あるいは追熟などと言われています)ことを促進します。ところがご質問にある「リンゴから発生しバナナの追熟を促進する物質がエチレンであると証明する」ことは一般家庭では無理なことと思います。また、その量を測定することも特別の機器を使う必要があり、これも家庭では困難なことです。リンゴがエチレンを発生することは1934年に化学的に証明されましたが、その方法はリンゴが発生するガスを他の物質と反応させて誘導体とし、その誘導体はエチレンだけから作られることを示したものです。しかし、今ではガスクロマトグラフと言う機器を使います。この機器は、いろいろな物質が混ざっている気体を吸着クロマトグラフィーと言う原理で分離し、それらの量をも記録することが出来るものです。クロマトグラフィーで分離される順番は物質の性質で決まっていますので、エチレンがあればその場所に信号を出します。実際は、もう少しいろいろな操作をしてガスクロマトグラフで何度か調べて、信号を出しているものがエチレンだと判断します。ですから、証明も、量の測定もガスクロマトグラフと言う機器がないとたいへん困難なことです。これでお終い、にしてしまえばお愛想がなさすぎて落胆しますよね。
そこで、自由研究では「エチレンが植物にどんなことをするか」を調べたらどうかと思います。リンゴが発生する気体の中で他の植物に特殊な効果を示すものはエチレンだけだと言うことは証明されていますので、中学生の自由研究ではこのことを前提とすればリンゴの発生ガスはエチレンと同じと考え、いくつか実験プランを書いてみます。適当に選んで試してみたらと言うのが提案です。
気体を取り扱うためどうしても密閉できる容器が必要です。蓋の大きいガラス製の梅酒瓶か5リットルから10リットルくらいのプラスチック製密閉容器が便利で、同じものを2つ用意します(1つは処理用、もう1つは比較するための無処理用)
実験1:
モヤシマメ、ダイズ、インゲン、アズキなどどれでも良いですが種子を土か砂を入れたプリン容器に蒔き、ベランダか窓際におきます。2つ同じものを用意します。1週間かそれ以上かかりますが、緑色の双葉(子葉)が完全に開いたら使えます。密閉容器に1つづつ入れます。一方の密閉容器にはリンゴ半分ほどを1cm角くらいに切ったリンゴ片を入れ(処理区)、もう1つの密閉容器には何も入れないで(対照区)蓋をきちんと閉めます。後は室内においておくだけです。梅酒瓶だと外から観察できますので、時々観察しながら数日の変化を見てください。実験を終わった材料植物もすぐに捨てないで、そのまま数日放置してみませんか。どんなことが起きるでしょう。ただし、枯れないように水はやってください。
実験2:
今度はマメを水に濡らしたキッチンペーパーかペーパータオルの上に蒔き、暗いところ(押入の中とか引き出しの中)において「もやし」を作ります。実験1と同じように密閉容器内でリンゴ処理区、未処理対照区を作り、同じく押入など暗いところに起きます。1日たてば変化が現れます。いろんな部分を注意深く観察してください。実験後のもやしも捨てないで、根をかみそりで切って水にさして数日観察してみたら?
実験3:
ライムと言うレモンのような果実をご存じですか。今ではマーケットで売っています。緑色です。2つ買ってきて、1つをリンゴガス処理、他を対照区とします。2日くらい様子を見る。オオバとして売っているシソの葉もライムと一緒に入れてみたら?
実験4:
時期的に丁度よいときです。畑にいくとキュウリ、スイカ、カボチャ、ヘチマ、何でも構いませんウリの仲間の伸びている先を見てください。巻きひげが何にも巻きつかないで真っ直ぐに伸びているものが必ずあります。真っ直ぐな巻きひげを先端から10cmくらいところで切り取ります。先端には触らないように。すぐに密閉容器に入れて処理区、対照区を比較してください。数時間で変化がでるとはずですが、1晩はおいてみてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-07-07
今関 英雅
回答日:2006-07-07