一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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胡蝶蘭の呼吸

質問者:   その他   多田 真希
登録番号0882   登録日:2006-07-09
胡蝶蘭は他の植物と違い酸素を吸って二酸化炭素だけ吐き出すと言う説と昼に二酸化炭素を吸い夜に酸素を出すと言う説があるのですが?
ちなみにTVでは二酸化炭素を出すと言ってた気がします???
本当はどうなんでしょうか?
多田 真希 様

(2006-07-11の回答)
 コチョウラン(胡蝶蘭に比べ詩的ではありませんが、生物の本名はカナで書くのが習慣になっています)はもともと台湾、フィリッピンなど熱帯地方の樹木に着生していた植物です。そのため、気根とよばれる周りの湿ったところから、水、無機養分を吸収できる根をもっていますが、光合成は濃い緑の葉で進行します。
コチョウランの花、根はほとんど光合成できないため、これらの器官は葉で光合成によって作られた有機物を利用し、呼吸によってエネルギーを得ています。従って、これらの器官は昼も夜も酸素を吸収し二酸化炭素を放出しています。
葉は光合成をするため、昼間は二酸化炭素を吸収して有機物を合成し、これに伴って酸素を発生します。夜になると光合成ができないため、夜の間にも進行する葉の成長、代謝に必要なエネルギーを得るために呼吸によって二酸化炭素を放出し、酸素を吸収しています。クロロフィールをもたず光合成ができない一部のラン目植物と異なり、コチョウランは光合成をすることができ、これによって成長しています。
サボテンのような乾燥地帯に生えている植物は、水を失わないようにするため、夜の気温の低い時にだけ気孔を開き二酸化炭素を葉の細胞に取り入れて有機物(リンゴ酸)を合成します。この細胞内に貯えられたリンゴ酸から発生する二酸化炭素を使って、昼間に酸素を発生して光合成をします。従って、サボテンなどでは、夜間は二酸化炭素を吸収し、酸素を発生しませんが、昼間には二酸化炭素を吸収しませんが酸素を発生します。コチョウランは乾燥地が原産地でないため、サボテンのようなタイプの光合成ではなく大部分の植物と同様に、葉は昼間、光合成のために二酸化炭素を吸収し酸素を発生しますが、夜間は呼吸のために酸素を吸収し、二酸化炭素を発生しています。

(訂正)
 その後ランの専門家にお尋ねして、コチョウランはサボテンと同じような方式で二酸化炭素を固定していることがわかりました。上の回答は従って誤りです。正しい答は登録番号0908に対する回答にありますのでご覧下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-08-17
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