一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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栄養繁殖しかしない植物は今後進化できますか?

質問者:   自営業   博行
登録番号0898   登録日:2006-07-18
世の中には種子が出来なくても繁殖している植物がありますが、それらの植物は今後進化を続けてゆく手段を持っているのでしょうか?

例えばヒガンバナ、木立アロエ、サトイモ など記憶を頼りに書きました。
間違っていたら直していただければ幸いです。
博行さま
 みんなの広場へのご質問有難うございました。頂いたご質問の回答を基礎生物学研究所の長谷部光泰先生にお願いしました所、以下のような回答をお寄せ下さいました。参考になるに違いないと思います。


生物の設計図は細胞の中の遺伝子です。通常一つの細胞はたくさんの遺伝子(例えばヒトでは2万5千くらい)を持っています。遺伝子が変化すること、すなわち突然変異がおこることが進化です。突然変異は宇宙線、放射線、あるいは化学物質などによって引き起こされます。また、細胞が2つに分裂するとき、遺伝子も2つにコピーされますが、そのときにコピーミス、すなわち、突然変異が起こります。従って、全ての生物はこの世に存在し、増える限り、必ず進化してしまうのです。というわけで、栄養繁殖する植物も、細胞分裂して成長し、突然変異がおこりますから進化します。大きな木を思い浮かべてください。それぞれの枝先は細胞分裂して、茎葉を作っています。ですから、何十年、何百年もたつとそれぞれの枝先にある細胞は異なった遺伝子を持つことになります。この顕著な例が枝変わりです。茎の先端の細胞で突然変異が起こって、他の枝と異なった性質の枝になってしまうのです。例えば、甘夏ミカンは夏みかんの枝変わりによって進化したものです。有性生殖はいろいろな個体に起こった突然変異を混ぜ合わせることによって、より多様な個体を作り出す(進化させる)仕組みです。

長谷部 光泰(基礎生物学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-07-19
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