一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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雑草の生命力

質問者:   小学生   れい♪
登録番号0948   登録日:2006-08-07
雑草は抜いても抜いてもいつも元気よくのびています。
そこで雑草の生命力を調べるため雑草と同じくらい強い花を用意して実験をしたいと思っています。
その実験はどっちも同じように切ってどれくらいでそれが成長するか調べます。
その実験で使う花は何にしたら良いですか?
教えてください。
れい♪さま
 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。担当の柴岡ともうします。はじめに、雑草とはどんな草なのかということから考えてみましょう。雑草の第一の条件は、人が植えたり種を播いたりしないのに生えてきた草ということですね。でも、人が植えたり種を播いたりしないのに生えている草でも、大自然の野や山にはえている草は、雑草とは呼びません。野草とか山草と呼んでいます。もう一つ条件がありそうです。それは、人の手によって自然の草が取り除かれた後に、生えてきた草ということです。たとえば、家を建てるために山をけずった場所に生えてきた草とか、グランドやテニスコートや庭の中に生えてきた草とか、田圃や畑の中に生えてきた草です。このような場所に生えている雑草は何故そこに生えているのでしょうか。その場所が好きだから、言い換えると、その場所の環境がその雑草の生育に合っているからです。
場所、場所によって環境が違うので、場所が変われば雑草の種類も変わりますが、どの場合も、その場所の環境が生育に合っている植物がその場所の雑草として生い茂るのです。はじめに、雑草とはということで考えましたが、ある場所の環境に最も合っている植物がその場所の雑草になるともいえます。畑に作物を植えた場合を考えて見ましょう。その場所がその作物に最も合っているとは限りません。人がその場所を選んだので、作物がその場所を選んだのではないからです。しかし、雑草は自分でその場所を選んで生えるのです。雑草はその場所が生育に合った場所なので、生えるのです。作物が無理矢理植えられたのに対し、雑草は自分から進んで生えたのです。どちらが元気よく生えるかお分かりと思います。放っておけば、作物は雑草に負けてしまうのです。「農業とは雑草とのたたかいである」と言われていますが、作物をちゃんと育てるためには、雑草退治がかかせないのです。もうご質問の答えを言ってしまったようなものです。ある場所に最も適した、その場所で一番強い草が雑草ですので、その場所で、その雑草と喧嘩をして勝てそうな、お花はないということです。雑草について自由研究をなさりたいのなら、環境によって(明るい所と暗い所とかなど)、生えている雑草がどう違うかなどをくらべるのも面白いのではないでしょうか。岩波ジュニア新書に“きらわれものの草の話し - 雑草と人間”・松中昭一著というのがあります。この回答もその本を参考にして書きました。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-08-08
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