質問者:
中学生
永山陽子
登録番号0960
登録日:2006-08-09
私は5年前から『植物は何色の光が好きか?』ということを調べています。植物の色について
はじめは植物はそもそも何故緑色なのかという疑問から生まれました。
調べていて、緑色は葉緑体が出していると知りました。しかし葉緑体が何故緑なのかということがわかりません。
これがわかれば、今後の研究に生かせると思うのでよろしくお願い致します。
いままでやってきた実験方法を簡単に説明します。
使った植物は、水生植物のアオウキクサとオオカナダモが主です。
1度コリウスを使って実験を行ったのですが、結果があまりよく出ませんでした。
セロハンを5色使って器具を作り太陽の光や、蛍光灯にあてたりもしました。
温度も一番初めの実験では測っていませんでしたが、色によって温度変化があると思ったので測るようにしました。
今までやった結果は緑色のセロハンを当ててやったものがいちばんアオウキクサの増え方がよかったです。
オオカナダモでは、炭酸水を使って実験をしました。
オオカナダモは水中にある二酸化炭素を吸って光合成を行っているのでこの実験をしました。
結果は、緑色のセロハンを巻いたものが一番集まった酸素の量が多かったです。
結果ではこうなりましたが、本当に緑色が好きなのか自信がありません。
また、他にも分かりやすい実験方法がありましたら、教えてください。
永山陽子 さん
質問をお寄せて下さり、ありがとうございます。
一つの問題に興味を持ち、5年間も調べ続けておられるとのことに感心します。
まず、ものの色って何でしょうか。結局のところ、目の網膜にある色素が光を受けとり、その刺激(興奮)が脳に伝わり、脳が何かを感じているってことになりますよね。ものの色って当たる光によって変わりますよね。太陽の光のもとで見ると、ヒトには、植物は緑に見えるわけですね。プリズムで太陽の光を分散させると、いわゆる七色のニジ(スペクトル)になって見えますね。太陽の光には幾つかの色の成分があるとみなすことが出来ますね。そうすると、植物に当たって私たちの目に入ってくる光の色が緑色に見えることは、緑以外の光の成分が失われたことになりますね。ものに色があるのは、ある色の成分が吸収されるからです。例えば、青い色の光が吸収されると黄色く見え、色の成分が全て一様に吸収されると灰色や黒になります。植物の細胞にある葉緑体には葉緑素(クロロフィル)などの色素があるため、太陽の光に含まれている特定の色の成分が吸収され、その結果、人の目には緑に見えると言うわけです。光の波長と言うことについて学習すると、理解しやすくなりますよ。
いろいろ工夫をして、アオウキクサやオオカナダモで、生長や光合成に有効な光の色を探しているのですね。この実験には難しさがあります。その一つは、光合成の強さ(速度)が光の強さに比例して大きくなることに由来します(正確には、光が弱いときの話です)。したがって、次のようなことがおきます。光合成の効率が1の光の色(A)と、その10分の1の効率の光の色(B)があったとして、(B)が(A)の10倍の強さであっているとすれば、両者で、光合成の速度は同じことになります。この説明でお分かりのことと思いますが、違った色の光の効果を調べるには、その強さが同じでなければ意味がないことになります。そこで課題となるのは、違った色の光の強さを測る方法のことです。また、光源にも問題があります。光源が太陽光か蛍光灯かによって、同じセロハンを使っても、光の色の成分とその強さが変わってくるので、比較が難しくなります。これらの点については、身近な理科の先生に相談してみて下さい。もう一つ難しい点は、セロハンが、太陽の光のスペクトルのどの部分を通しているかが、時として複雑である点です。さらに、生長への影響は、光合成に有効な光だけでなく別の光の成分も関係してきますので、解析に気をつける必要があります。
以上、後半は、実験の難しさを強調してしまいましたが、そのような点を十分に考慮して、一歩一歩問題を解決し、長年の謎を解き明かしてみて下さい。理科全般についての知識が増えると、いろんなことが理解できるようになりますよ。疑問点があったら、また質問して下さい。
質問をお寄せて下さり、ありがとうございます。
一つの問題に興味を持ち、5年間も調べ続けておられるとのことに感心します。
まず、ものの色って何でしょうか。結局のところ、目の網膜にある色素が光を受けとり、その刺激(興奮)が脳に伝わり、脳が何かを感じているってことになりますよね。ものの色って当たる光によって変わりますよね。太陽の光のもとで見ると、ヒトには、植物は緑に見えるわけですね。プリズムで太陽の光を分散させると、いわゆる七色のニジ(スペクトル)になって見えますね。太陽の光には幾つかの色の成分があるとみなすことが出来ますね。そうすると、植物に当たって私たちの目に入ってくる光の色が緑色に見えることは、緑以外の光の成分が失われたことになりますね。ものに色があるのは、ある色の成分が吸収されるからです。例えば、青い色の光が吸収されると黄色く見え、色の成分が全て一様に吸収されると灰色や黒になります。植物の細胞にある葉緑体には葉緑素(クロロフィル)などの色素があるため、太陽の光に含まれている特定の色の成分が吸収され、その結果、人の目には緑に見えると言うわけです。光の波長と言うことについて学習すると、理解しやすくなりますよ。
いろいろ工夫をして、アオウキクサやオオカナダモで、生長や光合成に有効な光の色を探しているのですね。この実験には難しさがあります。その一つは、光合成の強さ(速度)が光の強さに比例して大きくなることに由来します(正確には、光が弱いときの話です)。したがって、次のようなことがおきます。光合成の効率が1の光の色(A)と、その10分の1の効率の光の色(B)があったとして、(B)が(A)の10倍の強さであっているとすれば、両者で、光合成の速度は同じことになります。この説明でお分かりのことと思いますが、違った色の光の効果を調べるには、その強さが同じでなければ意味がないことになります。そこで課題となるのは、違った色の光の強さを測る方法のことです。また、光源にも問題があります。光源が太陽光か蛍光灯かによって、同じセロハンを使っても、光の色の成分とその強さが変わってくるので、比較が難しくなります。これらの点については、身近な理科の先生に相談してみて下さい。もう一つ難しい点は、セロハンが、太陽の光のスペクトルのどの部分を通しているかが、時として複雑である点です。さらに、生長への影響は、光合成に有効な光だけでなく別の光の成分も関係してきますので、解析に気をつける必要があります。
以上、後半は、実験の難しさを強調してしまいましたが、そのような点を十分に考慮して、一歩一歩問題を解決し、長年の謎を解き明かしてみて下さい。理科全般についての知識が増えると、いろんなことが理解できるようになりますよ。疑問点があったら、また質問して下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2006-09-09
佐藤 公行
回答日:2006-09-09