質問者:
中学生
かなッぺ
登録番号0961
登録日:2006-08-09
今、自由研究で植物をリトマス紙でpHを調べいるのですが、アジサイは情報によると酸性は青、アルカリ性は赤、勉強してきた結果と逆なんです。みんなのひろば
植物の性度(酸性・中性・アルカリ性)
他の植物を調べているのですが、もしかしたらアジサイと同じものがあるかもしれないと思いました。
サファニアやきゅうりはどうですか。教えてください。お願い致します。
かなッぺ さん
花の色素を専門に研究されている名古屋大学大学院の吉田久美先生にうかがって、次のような詳しい解説を頂きました。アントシアニンは試験管の中で酸性条件におくと赤く、アルカリ性にすると青くなる性質を持っていますが、生きた細胞の中では金属イオンや他の色素と結合して様々な色を出しています。土壌の酸性度がアジサイの花色に影響をすることはよく知られていますが、それは金属イオンの利用され易さに影響しているためです。花をすりつぶして得られた液のpHと、土壌のpHとの違いを混同しないように。もう一つ、リトマス試験紙は、溶液の酸性かアルカリ性かを調べるのには有効ですが、pHを知ることは難しいと思います。今では市販されていると思いますが「万能pH試験紙」というものがあり、色調によってpHを知ることが出来ます。
かなッぺ さん
まず、アジサイのことについてお答えします。
アジサイを酸性土壌で育てると、地中のアルミニウムイオンが水に溶けて、根から吸収されてガク片まで到達して、そこでアントシアニンという色素と錯体(註:金属イオン-アルミニウムイオン-を中心として他の分子団-アントシアニン-が立体的にゆるく結合したもの)を形成して青色になります。一方、アルカリ性土壌では、アルミニウムイオンは水に不溶であるためガクのアルミニウム濃度は低く、赤色に発色します。
アジサイのガク片を搾った液のpHとガク片の色はあまり関係がなく、どの色でもpH4くらいだと思います。
次に、植物の搾汁(潰してえられた液)のpHについてお答えします。
植物の細胞には、液胞という袋があります。成長した花や果実(キュウリもそうです)では、液胞はほぼ細胞全体の大きさにまでなります。つまり、核やミトコンドリアなどは、隅に押されています。ですから、植物の組織を潰した場合に得られるのは、ほとんどが液胞由来の液ということになります。液胞は、細胞の生活維持に大切な機能を持っていますが、一般的には、弱酸性です。ですから、どんな植物をつぶしても、そのpHは弱酸性のはずです。
ただし、植物の種類でいくらか違いがあります。レモンやミカンが酸っぱいのは、液胞が酸性だからです。しかし、液胞がアルカリ性になることは、まずありません。唯一の例外が、空色西洋アサガオで、青色の細胞の液胞はアルカリ性です。ただし、青いアサガオの花びらを潰した液では、内側の無色の液胞と混ざって弱酸性を示します。(註:一般に花の色素は、花びらの一番外側の細胞―表皮細胞-にだけ含まれています。ですから、表皮細胞を丁寧にむくと下の細胞は無色です。色素が含まれている表皮細胞の液胞がアルカリ性で、その下にある無色の細胞の液胞は酸性です。花びらをつぶすと両方の細胞が潰れて混ざってしまうためです。)
いろいろな植物をつぶしてpHを測定したときには、弱酸性のなかで(pH3から6程度)、その植物によって多少の値の違いが見られることと思います。
吉田 久美(名古屋大学大学院情報科学研究科)
花の色素を専門に研究されている名古屋大学大学院の吉田久美先生にうかがって、次のような詳しい解説を頂きました。アントシアニンは試験管の中で酸性条件におくと赤く、アルカリ性にすると青くなる性質を持っていますが、生きた細胞の中では金属イオンや他の色素と結合して様々な色を出しています。土壌の酸性度がアジサイの花色に影響をすることはよく知られていますが、それは金属イオンの利用され易さに影響しているためです。花をすりつぶして得られた液のpHと、土壌のpHとの違いを混同しないように。もう一つ、リトマス試験紙は、溶液の酸性かアルカリ性かを調べるのには有効ですが、pHを知ることは難しいと思います。今では市販されていると思いますが「万能pH試験紙」というものがあり、色調によってpHを知ることが出来ます。
かなッぺ さん
まず、アジサイのことについてお答えします。
アジサイを酸性土壌で育てると、地中のアルミニウムイオンが水に溶けて、根から吸収されてガク片まで到達して、そこでアントシアニンという色素と錯体(註:金属イオン-アルミニウムイオン-を中心として他の分子団-アントシアニン-が立体的にゆるく結合したもの)を形成して青色になります。一方、アルカリ性土壌では、アルミニウムイオンは水に不溶であるためガクのアルミニウム濃度は低く、赤色に発色します。
アジサイのガク片を搾った液のpHとガク片の色はあまり関係がなく、どの色でもpH4くらいだと思います。
次に、植物の搾汁(潰してえられた液)のpHについてお答えします。
植物の細胞には、液胞という袋があります。成長した花や果実(キュウリもそうです)では、液胞はほぼ細胞全体の大きさにまでなります。つまり、核やミトコンドリアなどは、隅に押されています。ですから、植物の組織を潰した場合に得られるのは、ほとんどが液胞由来の液ということになります。液胞は、細胞の生活維持に大切な機能を持っていますが、一般的には、弱酸性です。ですから、どんな植物をつぶしても、そのpHは弱酸性のはずです。
ただし、植物の種類でいくらか違いがあります。レモンやミカンが酸っぱいのは、液胞が酸性だからです。しかし、液胞がアルカリ性になることは、まずありません。唯一の例外が、空色西洋アサガオで、青色の細胞の液胞はアルカリ性です。ただし、青いアサガオの花びらを潰した液では、内側の無色の液胞と混ざって弱酸性を示します。(註:一般に花の色素は、花びらの一番外側の細胞―表皮細胞-にだけ含まれています。ですから、表皮細胞を丁寧にむくと下の細胞は無色です。色素が含まれている表皮細胞の液胞がアルカリ性で、その下にある無色の細胞の液胞は酸性です。花びらをつぶすと両方の細胞が潰れて混ざってしまうためです。)
いろいろな植物をつぶしてpHを測定したときには、弱酸性のなかで(pH3から6程度)、その植物によって多少の値の違いが見られることと思います。
吉田 久美(名古屋大学大学院情報科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-08-11
今関 英雅
回答日:2006-08-11