質問者:
一般
馬酔木
登録番号0965
登録日:2006-08-10
日本の古典文学に登場する紫檀について調べています。紫檀は香木か?
平安時代後期、11世紀成立の『大鏡』という作品に「紫檀の数珠」が出て来るのですが、ある注釈書に「香木。香木の数珠も功徳があるとされた」(新編日本古典文学全集P180)とありました。
確かに各種植物図鑑によると、かすかに芳香があるとありましたが、他の古典文学作品の注釈書で香木扱いにしているものは見あたりません。
紫檀には、白檀と同じようにはっきりとした香りがあるのでしょうか。
どうぞよろしく御教示お願い申し上げます。
馬酔木さま
みんなの広場へのご質問有難うございました。頂いたご質問は日本植物生理学会の会員には荷が重すぎると思い、回答を非会員である、マメ科の分類の専門家の東北大学名誉教授の大橋広好先生と林学関係の東京大学の井出雄二先生にお願いし、回答を頂きました。以下は、お二人の先生の回答を合わせたものです。申し訳ありませんが、ご質問の紫檀は香木かどうかについては、はっきりした回答が得られませんでした。
「紫檀」の正体は単純に「シタン」という和名の植物1種であるといえません.シタン属Pterocarpus あるいはツルサイカチ属Dalbergia に属する数種の樹木の材を「紫檀」と呼びます.
ツルサイカチ属の樹木Dalbergia latifolia は Rosewoodと呼ばれるようですが,これは「材にかすかながらバラの花に似た芳香があるため」と言われているそうです(世界有用植物事典.平凡 社).
現代中国では「紫檀」はマメ科の Pterocarpus indicus Willd.を指します.この植物は日本でも明治大正時代には「シタン」と呼ばれていました.
現在の和名はシタン属を区別して,「ヤエヤマシタン」または「インドシタン」としています.
古く日本に渡来した「紫檀」は「古渡紫檀」といいいD. cochichinensisであるとされています。ご質問の「紫檀」はこれとおもわれます。紫檀材は渡来もので見た目が美しいことから、古来珍重され、「源氏物語」や「宇津保物語」にも「はこ」や「たかつき」、「きゃうばこ」などの記述があるそうです。手元の文献を当たりましたが、紫檀の香りについての記述は残念ながら見出せませんでした。これは推測ですが、現在でも「紫檀の数珠」は使用されてますので、当時から、その希少性や重厚感から珍重されたのではないかと思われます。
大橋 広好(東北大学名誉教授)、井出 雄二(東京大学)
みんなの広場へのご質問有難うございました。頂いたご質問は日本植物生理学会の会員には荷が重すぎると思い、回答を非会員である、マメ科の分類の専門家の東北大学名誉教授の大橋広好先生と林学関係の東京大学の井出雄二先生にお願いし、回答を頂きました。以下は、お二人の先生の回答を合わせたものです。申し訳ありませんが、ご質問の紫檀は香木かどうかについては、はっきりした回答が得られませんでした。
「紫檀」の正体は単純に「シタン」という和名の植物1種であるといえません.シタン属Pterocarpus あるいはツルサイカチ属Dalbergia に属する数種の樹木の材を「紫檀」と呼びます.
ツルサイカチ属の樹木Dalbergia latifolia は Rosewoodと呼ばれるようですが,これは「材にかすかながらバラの花に似た芳香があるため」と言われているそうです(世界有用植物事典.平凡 社).
現代中国では「紫檀」はマメ科の Pterocarpus indicus Willd.を指します.この植物は日本でも明治大正時代には「シタン」と呼ばれていました.
現在の和名はシタン属を区別して,「ヤエヤマシタン」または「インドシタン」としています.
古く日本に渡来した「紫檀」は「古渡紫檀」といいいD. cochichinensisであるとされています。ご質問の「紫檀」はこれとおもわれます。紫檀材は渡来もので見た目が美しいことから、古来珍重され、「源氏物語」や「宇津保物語」にも「はこ」や「たかつき」、「きゃうばこ」などの記述があるそうです。手元の文献を当たりましたが、紫檀の香りについての記述は残念ながら見出せませんでした。これは推測ですが、現在でも「紫檀の数珠」は使用されてますので、当時から、その希少性や重厚感から珍重されたのではないかと思われます。
大橋 広好(東北大学名誉教授)、井出 雄二(東京大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-08-30
柴岡 弘郎
回答日:2006-08-30