一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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大根の切り口にうがい薬をかけたら色が消えるのも酵素のせいですか??

質問者:   中学生   デンプン
登録番号0966   登録日:2006-08-10
うがい薬はヨウ素液と同じ働きをするようです。
ひつこくて申し訳ないのですが、大根の切り口にうがい薬をかけたらジャガイモは青紫色になり、りんごは、反応せずにうがい薬の茶色になったのに大根の切り口は、うがい薬を、かけてしばらくするとうがい薬の色さえなくなり、大根の切り口は透明になってしまいました。
これも大根の酵素によるものですか?
デンプンさん

真実に迫るためには、”ひつこい”ことは良いことだと思いますよ。
私は、この実験をしたことがなかったので、あなたがしたのと同じ実験をし、すべてを確認しました。そして、薬について少し調べてみました。

まず、市販されているうがい薬の多くは、「ポビドンヨード(ポリビニールピロリドンと言う物質がヨウ素を結合したもの)」を主成分にしているようです。ポリビニールピロリドンに結合したヨウ素は容易に離れ、デンプンと反応します。簡単にヨウ素デンプン反応を見るには大変いい薬です。

ポビドンヨードは褐色の色をしています。この色は、主に、ポリビニールピロリドンにヨウ素が結合したために出来た色だと考えられます(一部、ポリビニールピロリドン自身の色もあるかも知れません)。この場合、ヨウ素が離れることによって褐色の色は消えることになります。

ところで、前回、青紫色に染まったジャガイモのデンプンに大根の搾り汁をかけるとヨウ素反応が見られなくなったのは、「大根に含まれている物質(ジアスターゼまたはマルターゼ)のはたらきでデンプンが分解したため」と考えました。しかし、うがい薬を直接大根にかけると褐色の色が消えてゆくことは、別の可能性を示しています。実は、レモン汁によっても同様にうがい薬の色が消されてしまいます。これらのことから考えられることは、植物に含まれている何かの物質がポビドンヨードを変化させ、無色にしていることです。そうなってくると、上の大根の搾り汁の効果をジアスターゼの働きであると断定することが出来ない可能性が生まれます。

結論として、「大根に含まれている物質のはたらきでデンプンが分解したため」と言い切るには、さらに注意深い実験が必要であるということになります。

もう少し追求してみて下さい。私も調べてみます。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2006-08-18