開催概要

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シンポジウム
◆S01 植物ホロビオントの創発基盤の解明に向けて
Toward understanding the emergence of order in Plant–Microbe Holobiont
日 時:
年会1日目 3月14日(日) 9:30~12:30
会 場:
X会場
オーガナイザー:
晝間敬(東京大学)、宮島俊介(奈良先端大学)、峯彰(立命館大学)、藤田浩徳(基礎生物学研究所)

自然環境には無数の微生物が存在しており、これらの微生物は植物の生理応答に影響を与えている。植物の生命活動を真に理解するには、植物をそれ単体ではなく、微生物叢との総体「ホロビオント」の機能を理解する必要がある。本シンポジウムにおいては、植物と微生物間、植物とウイルスといった植物を軸とした相互作用機作に加えて、昆虫と腸内細菌叢間の相互作用機作を探索している研究者の成果を紹介する中で、ホロビオントの創発基盤の共通性・相違性を議論したい。

気孔が司る植物-細菌ホロビオントの成り立ち

峯彰(立命館大生命,JSTさきがけ)

土壌微生物の動態を制御する根冠の細胞形態形成と防御機構との統御系

宮島俊介(奈良先端大 バイオ,JST さきがけ)

根粒共生系の進化ダイナミクス:裏切り菌はなぜ出現するのか

藤田浩徳(ストロバイオロジーセンター,基礎生物学研究所,総合研究大学院大学)

野外の植物におけるウイルス叢探索と宿主-ウイルス相互作用解析

神谷麻梨(龍谷大学 農学部 奥野研究室,京都大学 生態学研究センター)

昆虫腸内共生の成立機構

菊池義智(産総研・生物プロセス)

糸状菌・細菌共生集合体が栄養枯渇環境下での植物生長に果たす役割

晝間敬(奈良先端大・バイオ,東京大学・総合文化研究科,さきがけ)


◆S02 基部植物の研究から見えてきた幹細胞制御の普遍性と多様性
The universality and diversity of stem cell regulation revealed from the study of basal plants
日 時:
年会1日目 3月14日(日) 9:30~12:25
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
石崎公庸(神戸大学)、藤田知道(北海道大学)

植物の幹細胞は個体の中で様々な場所に維持され、または体細胞のリプログラミングによって新生され、植物の永続的かつ旺盛な器官成長をささえている。植物幹細胞の維持や新生の分子メカニズムに関しては、主に被子植物で研究され多くの知見が蓄積している。近年、植物進化の基部に位置するコケ植物や小葉類における幹細胞制御についても分子レベルの解析が進展し、植物幹細胞の起源や進化を考察する上で興味深い知見が続々と発表され始めた。本シンポジウムでは、コケ植物や小葉類における近年の幹細胞研究に焦点をあて、基部植物の研究から見えてきた植物幹細胞制御の普遍性と多様性について様々な観点から議論する。(新学術領域研究「植物の生命力を支える多能性幹細胞の基盤原理」との共催シンポジウムとして開催する。)

基部陸上植物の幹細胞

小藤累美子(金沢大・生命理工)

ヒメツリガネゴケ原糸体の頂端幹細胞における非対称分裂

藤田知道(北大・院理)

DNA損傷が誘導する幹細胞化の発見とその分子機構の解明

玉田洋介(宇都宮大・工,宇都宮大・CORE,宇都宮大・REAL)

切ったらわかったゼニゴケの幹細胞形成とオーキシンの縁

西浜竜一(京大・院・生命科学)

ゼニゴケの無性生殖から探る幹細胞新生の制御機構

加藤大貴(神戸大・院・理)

シダ植物小葉類にみる根頂端分裂組織の多様性と分裂動態

藤浪理恵子(京教大・教育・理)


◆S03 ゲノム編集アップデート 最新技術植物編―目指せ植物科学への貢献―
Frontiers of Plant Genome Editing to shape the future with new technologies
日 時:
年会1日目 3月14日(日) 14:00~17:00
会 場:
X会場
オーガナイザー:
刑部祐里子(徳島大・生物資源産業)

近年急速に発展するゲノム編集技術は植物遺伝子工学に大きな進歩をもたらしただけでなく、医学・農学・産業など様々な分野へのさらなる応用が期待されている。特に、情報科学との融合によるバイオエコノミーの推進における重要な役割が提示されるなど、新たな融合研究への展開も示されてきた。本シンポジウムは、最新の植物ゲノム編集技術を牽引する国内研究者らを一同に会し、独自の新たな研究成果を紹介して本技術の現在の飛躍的な進歩を総ざらいするとともに、最新の研究成果をもってゲノム編集がいかに植物科学に貢献できるのか、また、基礎研究のみならず産業や農業における植物バイオテクノロジーの将来に向けた新たな課題について議論する。

新規ゲノム編集ツールTiDによるゲノム改変技術の構築

刑部敬史(徳島大院・社会産業理工)

FnCas12a標的配列長の最適化による高効率ゲノム編集

遠藤真咲(農研機構 生物研)

植物ミトコンドリアのゲノム編集技術

有村慎一(東京大学・院農学生命科学)

植物受精卵への物質導入によるゲノム編集

戸田絵梨香(都立大・理・生命科学)

茎頂メリステムを標的とした汎用的なゲノム編集技術の開発

濱田晴康((株)カネカ)

新しいゲノム編集ツールと植物再生法による遺伝子改変技術

刑部祐里子(徳島大・生物資源産業)

 

◆S04 光エネルギー変換システムの再最適化―構造・機能・システムの視点から
Re-optimization of Energy Transduction in Photosynthesis – Structure, Function and System
日 時:
年会1日目 3月14日(日) 14:00~16:45
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
皆川純(基礎生物学研究所)、栗栖源嗣(阪大・蛋白研)

光合成機能向上への道を拓くためには,光合成システムが環境に応じて「光エネルギー利用効率」と「過剰光からの防御」のバランスを調整している鉄壁のしくみを理解し,光合成システムの光エネルギー変換機能を再最適化する戦略を立てる必要があります。本シンポジウムでは,プロトン駆動力を制御する機構,そしてプロトン駆動力によって制御される機構に着目して光エネルギー変換システムの再最適化戦略を議論します。新学術領域「新光合成」で推進してきた研究成果を中心に,分子レベルからシステムレベルまで,幅広い視点で最新の光合成研究を紹介していただきます。

共 催:
新学術領域「新光合成:光エネルギー変換システムの再最適化」

機能構造研究に基づく光合成色素蛋白質の分子進化

長尾遼(岡山大学異分野基礎科学研究所)

光化学系II超複合体のメタ構造変化による光環境適応

皆川純(基生研・環境光、総研大・生命科学)

光合成生物のシステムバイオロジー

清水浩(大阪大・院情報)

プロトン駆動力形成を担う膜タンパク質の構造基盤

栗栖源嗣(阪大・蛋白研)

プロトン駆動力を維持するチラコイド膜リモデリングのVIPP1による理解

坂本亘(岡山大・植物研)

高速原子間力顕微鏡によるチラコイド膜内構造の1分子観察

山本大輔(福岡大・理)


◆S05 植物におけるミネラル輸送システム:トランスポーターとその制御、利用
Mineral element transport systems in plants: transporters, regulation and utilization
日 時:
年会1日目 3月14日(日) 14:00~17:10
会 場:
Z会場
オーガナイザー:
Jian Feng Ma (Institute of Plant Science and Resources, Okayama University)、Yi-Fang Tsay (Institute of Molecular Biology, Academia Sinica)

ミネラルは植物の生育に欠かせない栄養素である。近年ミネラル輸送に関わるトランスポーターが多く同定され、その制御機構も次第にわかってきた。さらに同定された輸送体を、作物の生産性と品質の改善に応用されるケースも増えてきた。本シンポジウムでは、ミネラル輸送体の同定、制御及び応用に関する最新の成果を紹介するとともに、将来の研究を展望する。

Molecular Basis Underlying Long-distance Movement of Arabidopsis miR399 in Regulating Phosphate Homeostasis

Tzyy-Jen Chiou (Agricultural Biotechnology Research Center, Academia Sinica, Taiwan)

Molecular regulatory mechanisms of phosphate uptake and translocation in rice

Chuanzao Mao (Zhejiang University)

Transporters for loading mineral elements to rice grains

Jian Feng Ma (Institute of Plant Sciences and Resources, Okayama University)

Boron-dependent translation of a boron transporter and control of boron requirement in Arabidopsis thaliana

Kyoko Miwa (Grad. Sch. Environ. Sci., Hokkaido Univ.)

Multilayered regulation of the root iron uptake machinery in Arabidopsis

Greg Vert (LRSV - CNRS/Université Toulouse)

Improving nitrogen utilization by manipulating nitrate remobilization in plants

Yi-Fang Tsay, Kuo-En Chen (Institute of Molecular Biology, Academia Sinica, Taipei, Taiwan)

 

◆S06 植物レドックス生物学の最前線:レドックス調節、酸化ストレスおよびシグナル伝達
Frontiers in plant redox biology: Redox regulation, oxidative stress and signaling
日 時:
年会2日目 3月15日(月) 9:00~12:00
会 場:
X会場
オーガナイザー:
丸田隆典(島根大・生資科)、吉田啓亮(東工大・化学生命研)

細胞の酸化還元(レドックス)変化は酸化ストレスの引き金となるだけでなく、さまざまな代謝系やシグナル伝達系のスイッチの切り替えに重要な役割を担っている。そのため、レドックスは環境順応から成長および発達に至るさまざまな生理学的プロセスの制御の根幹をなす。本シンポジウムでは、光合成、活性酸素種、アスコルビン酸、チオレドキシン、NADPHオキシダーゼなどをキーワードに、代謝やシグナル伝達系のレドックス制御および酸化ストレスの回避・防御の分子機構に関する最新の話題を提供し、それらを総合的に考察することで、植物レドックス生物学の新たなコンセプトを提唱したい。

なぜ,そしてどのように植物はアスコルビン酸を高濃度に蓄積するのか?

丸田隆典(島根大・生物資源)

光合成電子伝達のレドックス制御とその進化的変遷

嶋川銀河(大阪大・太陽センター)

光化学系I のレドックス制御:P700の酸化に関与する新奇鉄硫黄タンパク質

増田真二(東工大・生命理工)

光合成の強光応答とタンパク質合成系のレドックス制御

西山佳孝(埼玉大・院理工)

チオレドキシン系を介した葉緑体の機能統御ネットワーク

吉田啓亮(東工大・化学生命研)

NADPH oxidaseを介したROSシグナル伝達における受容体様キナーゼの機能

木村幸恵(立命館大・R-GIRO)


◆S07 生命金属科学の新展開
A new perspective for Integrated Bio-metal Science
日 時:
年会2日目 3月15日(月) 9:00~12:05
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
高野順平(大阪府大・院生命環境科学)、田畑亮(名大・院生命農学)

植物を含むすべての生物において、生体内に微量に存在する金属・半金属元素(生命金属と呼ぶ)は生命維持に必須である。生物が生命金属を吸収・輸送・活用するにあたり、センサー、輸送体、金属タンパク質などがどのように生命金属を認識して機能するのか、疑問は尽きない。本シンポジウムでは、植物科学のみならず、数理モデル、動物細胞、プローブ合成など多様なアプローチで生命金属研究を進める研究者による最新の研究成果を紹介し、今後の生命金属科学の展開について議論したい。本シンポジウムは新学術領域「生命金属科学」との共催シンポジウムとして開催する。

生命金属「鉄」動態を制御する植物の器官間シグナル伝達機構

田畑亮(名古屋大学・生命農学研究科)

鉄・亜鉛結合性ユビキチンリガーゼHRZによる植物の鉄欠乏応答と鉄感知

小林高範(石川県立大学)

哺乳動物細胞分泌経路における亜鉛調節とタンパク質品質管理

天貝佑太(東北大・多元研)

金属の吸収および蓄積に果たす硫黄同化・代謝の役割

丸山明子(九州大・院・農)

輸送シュミレーションによる生命金属の動態予測

反田直之(東大・院・農学生命)

ホウ酸トランスセプターBOR1

高野順平(大阪府大・院生命環境)

コンディショナルプロテオミクスによる生命金属関連タンパク質の同定

田村朋則(京大・院工)

◆S08 生命の本質に迫る植物RNA研究の「これまで」と「これから」
Past and future of plant RNA research answering fundamental questions
日 時:
年会2日目 3月15日(月) 9:00~11:55
会 場:
Z会場
オーガナイザー:
都筑正行(東大・院・総合文化)、栗原志夫(理研CSRS)

植物を舞台にしたRNA 研究は、これまでに多くの生物学的に重要な本質的課題を生み出 し、またそれに答えてきた。これは、RNAが、遺伝子発現という生命現象の分子基盤に深く関与しており、植物を超えた生命現象の多様性と普遍性に迫ることができる重要分子であるからに他ならない。本シンポジウムでは、植物RNA 研究発展の変遷を眺望し、さらに今後どのように展開していくのか、新たな視座を提供することを目的とする。このために、植物RNA研究分野の世界的牽引者、活躍中の中堅研究者、さらに分野の未来を担う若手研究者を演者に迎え、植物RNA研究の「これまで」と「これから」について活発な議論を行う。

RNAポリメラーゼVによる広範囲のノンコーディング転写が示唆するゲノム安定性維持のメカニズム

都筑正行(東大・院・総合文化,ミシガン大・院・MCDB)

植物のダイサータンパク質の生化学的特徴および他の真核生物との比較

田原緑(東京農工大・GIR)

シロイヌナズナCCR4-NOT複合体のポリA鎖分解酵素はカルスからのシュート再生に働く

荒江星拓(東大院・新領域)

葉緑体翻訳と細胞質mRNA調節のシンクロナイゼーション

岩崎信太郎(理化学研究所 開拓研究本部)

シロイヌナズナのtRNAwobbleU修飾について

中井由実(大阪医科大学 生化学教室)

翻訳停止とmRNA分解:メチオニン生合成から見えたこと/まだ見えないこと

内藤哲(北大・院農,院生命科学)


◆S09 フィールドでの植物応答の制御に向けた植物環境適応機構の解明
Molecular elucidation of plant environmental adaptation toward engineering responses of field-grown plants
日 時:
年会2日目 3月15日(月) 13:00~15:50
会 場:
X会場
オーガナイザー:
峯彰(立命館大生命)、山田晃嗣(徳島大院社会産業理工)、米山香織(愛媛大院農)

地に根を張り動くことのない植物は、生育地の環境変化に適応しながら生きている。植物が経験する環境変化は、日長や土壌水分量などの非生物的要因や、植物に寄生する生物との攻防など多岐にわたる。加えて、植物は生理機能の異なる様々な器官で構成されており、長距離コミュニケーションを介して個体全体としての環境応答を調節する必要がある。本シンポジウムでは、多様な環境変化に対する植物の適応戦略の解明に挑むJSTさきがけ「フィールド植物制御」領域の若手研究者らの成果を共有し、フィールドにおける植物応答の制御に向けた研究の今後を議論する場を提供したい。

ストリゴラクトン生産・分泌の環境応答

米山香織(愛大・農,JST・さきがけ)

植物の環境適応と相関する根の解剖学的形質

山内卓樹(名大・生物センター,JST・さきがけ)

根の成長とスクロース含量の維持に関わる長距離移行性ペプチド

岡本暁(新潟大・院自然科学,JSTさきがけ)

防御応答と糖シグナルのクロストークの分子機構

山田晃嗣(徳島大院社会産業理工)

エピゲノムによる植物の環境適応制御

稲垣宗一(東大・院理学,JST・さきがけ)

植物の生殖制御を担う多彩なnon-coding RNA

小宮怜奈(沖縄科学技術大学院大学・サイエンス テクノロジー グループ,JST,さきがけ)


◆S10 植物ケミカル研究はボーダーレス時代へ~植物化学生物学と植物代謝化学の新展開
Borderless Era of Plant Chemical Research―New Trends in Plant Chemical Biology and Plant Metabolite Chemistry.
日 時:
年会2日目 3月15日(月) 13:00~16:00
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
中野雄司(京都大学)、平井優美(理化学研究所)

光合成によって自ら炭素化合物を生産する生命体である植物は、100万種類を超える低分子有機化合物を生合成し、自身の体を司る生命現象の制御に利用している。これらの植物の天然化合物やその類縁人工化合物について、近年はケミカルバイオロジー、メタボロミクスの観点からの新しい知見が次々と得られている。
このような植物が創る植物生理活性化合物群と植物一次・二次代謝化合物群は、かつては目に見えない境界のようなものが設けられ、それぞれの分野はそれぞれに発展してきたように思われる。しかし、近年、植物ホルモンに代表される生理活性化合物が代謝化合物の生合成を制御する事例、また、これまで一次・二次代謝化合物と分類されてきた化合物が低濃度で植物生理の制御活性を持つという事例、などが見つかり始めている。これは、化合物という物質そのものや生合成過程、さらにその生理作用からシグナル伝達まで、植物生理活性化合物群と植物一次・二次代謝化合物群の境界が無くなり、相互に混じり合い、影響を及ぼしあっているという視点で捉える「植物ケミカル研究のボーダーレス時代」が到来し始めていることを示唆していると考えられる。
本シンポジウムは、このような二つの研究領域をバックグラウンドに持つ研究者が一堂に介し、最新の知見を紹介し議論することによって、「植物ケミカル研究のボーダーレス時代」に起こし得る新しい研究の方向性、「植物ケミカル」の植物および植物が支える地球生態系における生物学的存在意義、その知見を生かした制御技術の開発による持続可能な社会構築の可能性、を探ることを目的とする。

アシル化スペルミジン類の広がりと機能

浅見忠男(東京大学大学院農学生命科学研究科)

植物におけるアミノ酸代謝の再考-発生制御の観点から-

平井優美(理研CSRS,名大・院生命農学)

多様なアブシシン酸受容体の生理機能の解明を目指した人工分子の開発と利用

岡本昌憲(宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センター)

植物が産生するポリフェノール類の代謝多型解析

峠隆之(奈良先端科学技術大学院大学)

植物成長機構の解明を目指すケミカルバイオロジー研究

中野雄司(京都大・院・生命)

根圏領域における植物ケミカルの機能と植物成長調節への展開

杉山暁史(京都大学・生存圏研究所)

甘草はどのようにして甘いサポニンの生産能を獲得したのか?

村中俊哉(阪大院・工・生物工学)

未活用な植物特化代謝成分をトップダウンに探索するためのデータ基盤の構築

櫻井望(国立遺伝学研究所)


◆S11 シンポジウム「 伸ばす・曲げる・太る:メカニクスから読み解く植物の成長戦略 」
Elongate, bend, and expand: Deciphering plant growth strategy from its mechanics
日 時:
年会3日目 3月16日 9:00~11:50
会 場:
X会場
オーガナイザー:
吉田 祐樹(熊本大学)、大谷美沙都(東京大学)

身の回りを見渡すと、目には見えないサイズから見上げるような巨大サイズまで、生物の体のスケールの豊かさに気付かされる。さらに植物では、環境やライフステージに合わせた積極的な新規器官形成が起こるため、個体サイズ変化だけでなく、一生における形態変化も大きい。では、植物はどのようにしてスケールに合った有効な成長戦略を導出し、環境に合った体制維持を実現しているのだろうか?本シンポジウムでは、植物のメカニクス(力学・構造・機構)に注目した最新研究成果を元に、若手研究者を演者に招き、植物の成長戦略のさらなる理解を目指した多角的な議論を行う。(本シンポジウムは新学術領域研究「植物構造オプト」との共催シンポジウムとして開催する)

“Through the narrow gate” ―狭さをものともしない植物たち―

佐藤良勝(名古屋大・WPI-ITbM)

イネの根で発見した栄養屈性からみる植物の成長戦略

山崎清志(東大・院農)

根-土系の力学に基づく根の貫入基準式の提案

友部遼(豊田工業高等専門学校)

有殻アメーバ直伝,卵型シェルターの作り方

野村真未(筑波大・生命環境)

巨体を支える:大径木の成長応力

松尾美幸(名大・院生命農)

植物物理学 ―その多様性と普遍性―

島弘幸(山梨大・院生命環境)


◆S12 植物における転写抑制の分子メカニズム
Molecular Mechanisms of Transcriptional Repression in Plants
日 時:
年会3日目 3月16日(火) 9:00~12:00
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
高崎寛則(埼玉大)、高木 優(埼玉大)

遺伝子の発現制御は生物の機能に決定的に重要な要素の一つである。生物の環境適応や発生過程において、適切な遺伝子発現のONとOFFが普遍的な転写機構と多様な制御システムによって決定される。遺伝子発現制御に果たす転写抑制の分子メカニズムについては、ヒストン修飾、DNAメチル化、転写抑制因子等がゲノム中の遺伝子発現制御領域に作用するシステムの存在が明らかになった。これらの組み合わせによる複合的な転写抑制システムは、転写活性化システムと供に制御ネットワークを形成することで多くの遺伝子の発現を制御する。複雑な転写制御機構の多様な生物学的役割や進化的な保存性について、種子発芽過程における複合的ヒストン修飾、胚の周辺で機能する転写因子、イネの胚乳発生過程におけるヒストン修飾などの新たな知見が得られている。本シンポジウムでは、多様な植物種と、異なるアプローチで研究を展開している研究者による最新の研究を紹介し、遺伝子発現制御研究において解明すべき問題について考察する。

胚乳細胞における複合的エピジェネティクス抑制機構と母親由来ゲノムによる種子発芽の制御

佐藤輝(スウェーデン農業科学大学)

シロイヌナズナの胚乳で発現する転写因子ELONGATION OF SILIQUES WITHOUT POLLINATION 3の解析

高崎寛則(埼大院・理工)

イネの胚乳発生を制御する転写抑制因子

殿崎薫(岩手大・農)

自動分注装置による半自動化一過的遺伝子発現系の開発とそれを利用した植物転写因子の網羅的機能解析

坂本真吾(産総研 生物プロセス)

シロイヌナズナの低温ストレス誘導性遺伝子DREB1Aice1-1変異体におけるサイレンシング

城所聡(東大院・農学生命科学)

緑藻は転写抑制により目覚める

松尾拓哉(名古屋大学 遺伝子実験施設)

広告・出展等の募集について 協賛企業・団体一覧

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