開催概要

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シンポジウム
◆S01 ゲノムと新技術が磨くバイオリソース
Improvement of genomics and technologies upgrades the value of bioresources
日 時:
年会1日目 3月22日(火) 9:30~12:22
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
佐藤豊(国立遺伝学研究所)小林正智(理化学研究所バイオリソース研究センター)

バイオリソースは、植物科学を含むライフサイエンス研究に不可欠な基盤である。バイオリソースは、生命現象を理解するモデルとなる実験系として使われており、共通の基盤のうえで実験が行われることによる実験結果の比較や標準化に重要な役割を果たしている。また、生命現象の多様性に光をあてるのもバイオリソースが持つ大きな特徴である。
ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)では、戦略的に整備することが重要であると国が認めるバイオリソースについて収集・保存・提供体制を整えている。植物では、シロイヌナズナ、イネ、コムギ、オオムギ、トマト、ミヤコグサ・ダイズ、アサガオ、広義キク属、藻類がNBRPによりバイオリソースの収集・保存・提供活動が行われている。
近年、ゲノム情報や新しい技術の登場により、新たな視点でバイオリソースを活用した研究が可能になりつつある。本シンポジウムでは、NBRPの植物リソースの新たな活用について、ゲノム情報と新技術の視点から考え、植物種の垣根を超えた植物科学研究の将来について議論したい。

NBRPシロイヌナズナ 多様な植物培養細胞リソースとその高度な利活用のための品質管理

小林俊弘(理研・BRC)

NBRP藻類 非モデル藻類リソースを用いた真核生物の新奇形質の探索

鈴木重勝(国立環境研究所)

NBRPコムギ 六倍体コムギNAM集団の育成:遺伝資源から,そして,遺伝資源へ

那須田周平(京大・院農学)

NBRPオオムギ オオムギの染色体スケールジェノムアッセンブリ手法の進展

佐藤和広(岡山大・植物研)

NBRPイネ ゲノム情報とゲノム編集が可能にする野生イネ遺伝資源の新たな利活用

津田勝利(国立遺伝学研究所・総研大)

NBRPミヤコグサ・ダイズ ミヤコグサリソースを活用した環境適応機構の解析

佐藤修正(東北大・院生命科学)

NBRP広義キク属 キク属における分子遺伝学:モデル系統と全ゲノム塩基配列情報

草場信(広島大・統合生命科学)

NBRPアサガオ アサガオ:ゲノム情報でキラリと光りはじめた日本独自のバイオリソース

星野敦(基生研,総研大・生命科学)

NBRPトマト NBRPトマト・ヒストリア,現在と未来

江面浩(筑波大・生命環境)


◆S02 環境の不規則な経時変動に対するステージゲート応答
Plant resilience mechanism for irregular environmental fluctuations over time
日 時:
年会1日目 3月22日(火) 9:30~12:30
会 場:
Z会場
オーガナイザー:
芦苅基行(名古屋大学)、松下智直(京都大学)

環境刺激は時間軸や強度の面でも均一ではなく、不規則な揺らぎを伴って変動している。植物はこの徐々に変化する環境刺激の長さや強さに応じて、複数のステージゲートを設けることで応答の最適解を選択している。本シンポジウムでは、時空間的に不均一かつ不規則な環境の経時変化に対する植物のレジリエンス機能に焦点をあて、様々な環境変動における植物のステージゲートの分子機構を紹介するとともに参加者と植物の環境レジリエンス機構について議論する。(本シンポジウムは学術変革領域「不均一環境と植物」との共催シンポジウムとして開催する。)

窒素栄養欠乏に応答した植物のステージゲート‐成長相転換制御の視点から‐

佐藤長緒(北大院・理)

根における冠水応答のステージゲート

中園幹生(名大・生命農学)

冠水による茎伸長のステージゲート

芦苅基行(名大・生物センター)

植物の高温に対するレジリエンス機構

太治輝昭(東農大・バイオ)

不規則な環境変動に応答した気孔開度と花成の制御機構

木下俊則(名大・生命理学)

植物の環境レジリエンスを支える傷害応答機構

杉本慶子(理研・環境資源科学,東京大・院・理・生物科学)

不規則な環境変動下における花成抑制遺伝子FLCの頑健な制御

西尾治幾(滋賀大・DSセ,京大・生態研)


◆S03 植物RNA分子生物学の最先端~配列・構造・機能~
The forefront of plant RNA molecular biology: Sequence, structure and function
日 時:
年会1日目 3月22日(火) 13:45~16:40
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
山下由衣(北大・院農)、都筑正行(東京大・院総合文化)

RNAは植物の形態形成や環境応答といった現象に多面的に関与する重要な分子である。ノンコーディングRNAの発見にとどまらず、近年も新たなRNA分子種や制御配列、修飾が報告されている。また、従来の分子生物学的手法に加え、構造生物学やバイオインフォマティクス等の進歩により、RNA分子の構造・機能についての新知見も次々と得られつつある。本シンポジウムでは、以上を背景に、植物RNA研究を進める国内第一線の研究者による最新の知見を紹介し、RNAの多様な機能や配列・構造に依存した制御機構など、RNA分子を中心に据えた「植物の見方」を議論する。

遺伝子をどう転写しプロセスするか: 植物におけるUsnRNP機能の重要性

大谷美沙都(東京大・院・新領域,奈良先端大・バイオ,理研・CSRS)

植物の二次的小分子RNA が作られるしくみ

岩川弘宙(東京大学定量生命科学研究所)

植物における非コード転写の機能とメカニズム

都筑正行(東京大・院総合文化)

植物オルガネラのC-to-U RNA編集酵素の構造が示すユニークな活性制御機構

竹中瑞樹(京都大・院・理学)

植物におけるNMD の標的RNA の特徴は何か?

栗原志夫(理研・環境資源)

栄養条件に応じた輸送体遺伝子の翻訳と転写の協調した発現制御

田中真幸(東大・農)

植物における小胞体ストレス応答を司る翻訳停滞の分子機構とその特異性

山下由衣(北大・院農)

mRNA配列の詳細解析によって明らかとなったmRNA配列の多様性と翻訳制御の関係性

山﨑将太朗(奈良先端大・バイオ)


◆S04 動植物と建築におけるセンサーとアクチュエータ
Sensors and actuators in biology and architecture
日 時:
年会1日目 3月22日(火) 13:45~16:45
会 場:
Z会場
オーガナイザー:
豊田正嗣(埼玉大・院・理工)、上田晴子(甲南大・理工)

広義には、生物や建築物は構造体と捉えることができ、外界からの情報を検知し、その情報を処理し統合することで、それぞれの形や機能を維持している。動植物の場合、重力や光などの様々な外部刺激を感知し、成長や形態変化、運動といった適応反応を引き起こす。建築物の場合、地震や暴風などの環境変化を検知し、制振機構などを介して構造体を維持する。動植物と建築では、生活環境における力やサイズなどのオーダーが大きく異なるが、これらの2つの構造体に共通している特徴は、情報の入力を担うセンサーと、その情報を機械的な変位や応力などに変換するアクチュエータが協働している点である。建築・植物・医学という3つの異なる分野の研究者が一堂に会して議論することで、生物や建築物におけるセンサーとアクチュエータの共通点や相違点を詳らかにし、根源的な原理の抽出や相互に利用・補完できる理論の創出を目指す。

空間構造におけるセンサー・アクチュエータ技術の適用

吉中進(早稲田大学創造理工学部建築学科)

生物に学ぶ建築構造

中楚洋介(東大・生研)

揺らぎにより駆動される成長安定化~ミクロな微小管の揺らぎがマクロな器官成長を安定化する

高谷彰吾(ENS de Lyon, INRAE, RDP)

光センサーを介した葉構造変化

後藤栄治(九州大・院農)

ハエトリソウの高速運動を司るセンサーとアクチュエータ

須田啓(埼大・院理工)

脳の成長的建築:密に詰まった細胞たちによるセンシングとアクチュエーション

宮田卓樹(名古屋大・院医)


◆S05 植物幹細胞の特性の理解に向けて
Toward understanding the unique features of plant stem cells
日 時:
年会1日目 3月23日(水) 9:00~11:40
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
Masaaki Umeda (NAIST),Hitoshi Sakakibara (Nagoya Univ.)

動物の多能性幹細胞は受精後間もなく消滅するが、植物の幹細胞は多能性を保ちつつ組織内で維持される。これらの幹細胞が植物の様々な器官を作り出すことにより、持続的な成長を支えている。また、植物では体細胞のリプログラミングが容易に起き、変動する環境下で生き抜くための生存戦略として機能している。2017年度に発足した新学術領域研究「植物多能性幹細胞」では、これまで5年間にわたり、植物幹細胞の新生、増殖、維持、リプログラミングについて集中的に解析を行ってきた。本シンポジウムではこれまでの研究成果を計画班メンバーが発表し、幹細胞研究の新たなステージへと踏み出す契機としたい。(新学術領域研究「植物の生命力を支える多能性幹細胞の基盤原理」との共催シンポジウムとして開催する。)

Genome Maintenance Strategies in Plant Stem Cells

Masaaki Umeda (Grad. Sch. Sci. Technol., NAIST)

Analyses of stem cell genome diversity in long-lived plants

Akiko Satake (Dept. Biol., Kyushu Univ.)

Regulation of nodule initiation in legumes

Makoto Hayashi (RIKEN CSRS)

Evolutionary conserved mechanisms of stem cell proliferation in land plants

Kimitsune Ishizaki (Grad. Sch. Sci., Kobe Univ.)

Control of vegetative reproduction by KL signaling in Marchantia polymorpha

Junko Kyozuka (Tohoku, LifeSciences)

Role of cytokinin biosynthesis and translocation in the maintenance of shoot apical stem cells

Hitoshi Sakakibara (Grad Sch Bioagric Sci, Nagoya Univ)

Regulation of stem cell production by a cytochrome P450-derived signal in plants

Shinjiro Yamaguchi (Inst. Chem. Res., Kyoto Univ.)

Analysis on the establishment of apical-basal axis and stem cells in rice embryo

Yutaka Sato (National Institute of Genetics)

Deceleration of cell cycle underpins a switch from proliferative to terminal division in plant stomatal lineage

Akie Shimotohno (Institute of Transformative Bio-Molecules (WPI-ITbM), Nagoya University)

Competitive action among BES/BZR transcription factors enables the robust control of vascular stem cells

Yuki Kondo (Grad. Sch. Sci., Kobe Univ.)


◆S06 寄生・共生・防御・感染を制御する化学シグナル
Chemical signals that control parasitism, symbiosis, defense, and infection in plants
日 時:
年会2日目 3月23日 13:15-16:15
会 場:
Y会場
オーガナイザー:
平井優美(理研CSRS、名大・院生命農学)、水谷正治(神戸大・院農)、杉山暁史(京大・生存研)

植物と他生物の間には様々な相互作用(寄生・共生・防御・感染など)がある。相互作用するためには生物間で互いの存在を認識する必要があるが、双方は空間的に離れた場所にいるため、認識すべき個体から外部に向けて発せられるシグナルを感知する必要がある。このシグナルは植物から分泌される代謝産物である場合が多く、根粒形成ではフラボノイド類、AM菌共生ではストリゴラクトンが化学シグナルとして働くことが知られているが、多くの生物間相互作用においては不明である。化学シグナルにより引き起こされる初期応答はユニークであることから、新規化学シグナルの探索には、初期応答をアッセイ系としたスクリーニング系と物質精製が必要であり、従来の代謝生理研究とは異なるアプローチが期待される。本シンポジウムでは、植物と他生物との寄生・共生・防御・感染のダイナミックな関係に関わる化学シグナルに焦点をあて、物質同定や生理機能について最新の話題を提供するとともに、今後の研究展開について議論したい。

情報分子が介在した植物による菌根菌への寄生能力獲得

末次健司(神戸大・院・理)

植物分子によるアーバスキュラー菌根菌の制御

亀岡啓(東北・院・生命, JSTさきがけ)

植物だけでなく真菌類にも寄生する青枯病菌の感染戦略

甲斐建次(阪府大院・生命環境)

サツマイモネコブセンチュウの誘引物質の同定

澤進一郎(熊本大学大学院先端科学研究部)

害虫の唾液因子によって調節される植物の防御応答システム

有村源一郎(東京理科大・生命システム工)

クチナシ防御物質に対する昆虫の対抗適応と生理メカニズム

吉永直子(京大・院農)

「虫こぶ」形成の謎は解明しつつある

平野朋子(京都府立大学生命環境科学研究科)

VOCsによる地上部の植物間コミュニケーションが地下部生物間相互作用に与える影響

塩尻かおり(龍谷大学・農学部)


◆S07 見たい、知りたい、操作したい、植物と微生物の超個体
A multifaceted approach to uncovering the mechanism and dynamics of the plant-microbe holobiont
日 時:
年会2日目 3月23日 13:15-16:15
会 場:
Z会場
オーガナイザー:
宮島俊介(奈良先端大)、晝間 敬(東京大学)、峯  彰(京都大学)

植物は環境中に存在する無数の微生物とある種の共同生命体である「超個体」を構築し、自らの環境適応能力を飛躍的に向上させる。多元的な植物微生物相互作用とそれらに起因する連続的な生体応答により創発される超個体の理解には、多角的な視点から超個体化を解読し、統合する事が肝要である。本シンポジウムでは、生体イメージング、モデリング、機能ゲノミクスなどの独自の研究アプローチを有する研究者の成果を紹介する中で、植物と微生物が織りなす超個体現象を解き明し、それを操作する技術の構築に向けた研究者共同体を創発する第一歩としたい。

蛍光寿命イメージングによる根の対微生物応答の時空間ダイナミクスの解明

宮島俊介(奈良先端大 バイオ,JST さきがけ)

放射線イメージングによる根の養分ダイナミクスの解明

杉田亮平(名古屋大学アイソトープ総合センター)

リモートでもオンサイトでも:植物の生理応答を定量化する技術の開発と適用

戸田陽介(㈱フィトメトリクス,名大・ITbM)

イネをめぐる相互作用ネットワークの再構築による有用生物の検出

潮雅之(京都大学白眉センター,京都大学生態学研究センター)

野外トランスクリプトームデータを利用したコムギ黒さび病の診断と発生調査

津島綾子(John Innes Centre)

植物超個体もリモートで:分泌性物質を介した植物マイクロバイオータ相互作用が根の発生と免疫を制御する

中野亮平(Max Planck Institute for Plant Breeding Research, Cologne, Germany)

広告・出展等の募集について 協賛企業・団体一覧

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株式会社ペプチド研究所
株式会社 東海電子顕微鏡解析
MDPI Forests and Plants
fasmac
一般社団法人クロックミクス
東京化成工業株式会社
NBRP
三菱ガス化学
JFEエンジニアリング株式会社
株式会社バイオメディカルサイエンス
新学術領域研究「植物新種誕生の原理」