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なぜ八重の紅しだれ桜には、雌しべが2,3本あるんですか

質問者:   小学生   ひなたん
登録番号4418   登録日:2019-05-12
4月に八重の紅しだれ桜を見ていたら、雌しべが二本ある花がありました。気になったので、他の場所のしだれ桜を3カ所見ましたが、やっぱり2,3本雌しべがある花がありました。
八重桜のサトザクラも雌しべが二本ある花がありました。でもサトザクラのウコンは一本でした。普通の桜も一本でした
お母さんが『花の園芸事典』朝倉書店/2014で『一つの花には雌しべが一個であることが多いが、2個~多数の場合もあり、このような場合は雌しべ群と呼ぶ』と書いてあるのを調べてくれましたが、なぜ雌しべが増えるのかがわかりません。
八重の桜の花びらが多いのは、雄しべとかが変化したものだとならいました。
最近また桜を見に行ったら、双子の実がなっていました。
また、しだれ桜のつぼみから、花が咲くまえに雌しべがつぼみが飛び出していましたが、これもなぜですか。私は自家受粉をしないようにしているのかなと思いました。でもそうすると、しだれ桜は風媒花なのかなと思いました。
ひなたん様

植物Q&A のコーナーをご利用下さりありがとうございます。回答はさくらの研究者で、さくらのことにとてもお詳しい勝木俊雄先生にお願い致しました。とても丁寧に回答して下さいましたが、小学生には少し難しいかもしれません。わからないところがありましたら、お母様に解説して頂いて下さい。あるいは、私の方に質問して下さい。

【勝木先生の回答】
観察されたサクラは栽培品種の‘八重紅枝垂’でしょうか。野生タイプのサクラは、雌しべが1本、雄しべが数十本、花弁が5枚、萼片(がくへん)が5枚が基本数ですが、ご指摘のように、サクラの八重咲きの栽培品種の中では‘普賢象’や‘関山’のように複数の雌しべをもつものが少なくありません。

雄しべや萼片やといった器官が花弁に変化することをホメオティック変異といいます。

八重咲きのサクラでもホメオティック変異で花弁数の増加を説明できるものもあります。しかし、花弁数が100枚を超えるような八重咲きのサクラは、通常の雄しべの数は数十本ですから、ホメオティック変異だけでは説明できません。雄しべや花弁の総数自体が増加する現象と考えられます。

サクラの雌しべ数の増加は、実は野生の一重咲きの個体の中にもしばしば観察されます。栽培品種の事例でも、雄しべ数の減少とは関係していないようですので、ホメオティック変異というよりも、なんらかの原因によって雌しべとなる部分が分裂した結果の増加でしょう。八重咲きの栽培品種に多いことを考えると、花弁数の増加と同様に遺伝的な突然変異とも考えられます。しかし、雌しべの数が一定していないことから推測すると、なんらかの環境要因によって生じた異常とも考えられます。まだその原因は解明されていないのが実情です。

なお、複数の雌しべをもつ花は正常に発達せずに結実しない場合が多いのですが、中には正常に結実する場合もあります。その場合、ひとつの花柄の先に果実がくっつくような形となります。‘妹背’という栽培品種は、そうした果実がくっついた形を仲の良いことに例えて名付けられています。

また、サクラは風媒花ではなく他家性の虫媒花です。ご指摘のように‘八重紅枝垂’は雌しべがつぼみの中から突き出たようになっていますが、多くの野生個体の花は雌しべが突き出ていません。やはり開花して虫によって花粉を運んできてもらう必要があります。人が増殖する栽培品種なので、繁殖には不利な形でも存在するのです。

参考URL
花弁の無いミツバツツジ
https://jspp.org/hiroba/q_and_...


勝木 俊雄(森林総合研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2019-05-23
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